日本語のあれこれ日記【8】

羽田圭介 小説は最初に書いた後で、読み直して書き直すのが大部分

[2016/5/25]


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小説を書いているときは、楽しい時間ですか?

自動車のユーザに対してさまざまなサービスを行うJAFという組織があります。私も会員になっています。

会員に対して発行されるJAF Mateという月刊誌があります。

フリーアナウンサー久保純子が様々な人にインタビューするコーナーがあり、2016年1・2月号は芥川賞作家の羽田圭介のインタビューでした。

その中で、「小説を書いているときは、楽しい時間ですか?」という問いかけから、羽田圭介が小説を書くときの生々しい心情を語っているところがあり、とても興味を持ちました。

小説は最初に書いた後で、読み直して書き直すのが大部分

要は、このように語っているのです。

以下、その部分を引用します。(*1)

久保 小説を書いているときは楽しい時間ですか?
羽田 楽しいですね。でも、新しい文章を書くというのは、小説家の仕事の1割もないと思うんですよ。
久保 そうなんですか?
羽田 僕の場合は、自分で読んで直しを入れ、編集者にアドバイスを聞いてまた直すというように、基本的に読み直している時間がほとんどです。新しい文章を書けるときは快楽なんですけど、直しの作業は自分でも飽きている文章を読み直さなきゃならないので、それは苦しいですね。

プロの小説家でも、書いた後、自分で読み直しては書き直し、また、編集者などに読んでもらって、指摘されたところを書き直す、ということの繰り返しであると。

そういう作業が延々と続く、と語られています。

わが身を振り返ってみると

私自身、このサイトでいろいろな文章を書いて来ました。そして、文章というのはなんて難しいんだろう、と毎回感じています。

一通り書いた後で、自分で読み返して、おかしなところや改善すべきところを修正していくのですが、この作業がつらいのです。

もう少しうまく書けないのかな、といつも感じるだけでなく、読み返すたびにおかしなところが見つかり、収束する気配がないのです。

他のサイトを見ると、これが、うまい文章が多いのですね。どうしてみんなうまいんだろうか、と思っていました。

この羽田圭介のインタビューを読むと、プロの作家でも読み直しては書き直す、の繰り返しらしい。そしてそれは苦しい作業だというのです。

文章のプロがそうであるなら、私が読み返したり、書き直したりを繰り返すのは当たり前で、それを辛い作業であると感じるのも全く当たり前だと、安心しました。

辛い作業も耐えるしかない、と。

"文章の書き方"本

文章の書き方をアドバイスする本がたくさん出ていて、何冊も目を通しました。

部分的にはとても参考になることがありました。その結果、以前よりは、少しは文章がよくなったような気がします。

でも結局は、何度も読み返して書き直す、という作業を続けることに耐えるしかない。

このように、割り切るしかないのですね。


(*1) JAF Mate 2016 1・2 pp. 16-18 あったカー対談 58

追記 [2016/5/30]

今回取り上げた雑誌 JAF Mate 2016年1・2月号での対談(芥川賞作家羽田圭介のインタビュー)の様子がYoutubeに動画でアップロードされているのを見つけました。

芥川賞作家羽田圭介のインタビュー(別ウィンドウで開きます)

会話を文章化する際に、省略や修正があるのは当然ですが、動画で分かった部分についてちょっと書いておきます。

一旦書いたやつを僕の場合は、プリントアウトして紙にして読んで、それに赤ボールペンで直しとか入れたりとかして、後はそれを送って編集者からのアドバイスを待って、それを聞いて、またそれをどうやって直せばいいか、という・・・・

その後、「新しい文章を書けるときは快楽なんですけど」、と言っているところで、両手でキーボードを打つようなしぐさをしています。

最初にキーボードをたたいて文章を入力するのが最初にあり(その前に構想を考えているのでしょうが)、次に一旦プリントして、赤ペンで直していく。キーボードをたたく作業が「書く」と表現されるのです。

以前に、小説家石田衣良の執筆の様子について、縦書き・横書きの問題の一つとして記事(*)を書いたことがあります。こちらも、修正作業の様子を聞いてみたいですね。

(*) 前書き・後書きの部屋 [1] の、10.例解現代国語辞典(第四版)の【追追注】



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