日本語のあれこれ日記【66】

日本語と漢字―その12―かな表記での分かち書き

[2024/10/6]


次のページ  前のページ  「日本語のあれこれ」のトップページ

かな表記における分かち書き

かな表記において、分かち書きは必須です。

前回の記事で、分かち書きのやり方について、品詞分けと分節分けのふたつがあることを書きました。なお、このふたつは、それぞれ品詞式、文節式という言い方もあるようです。

もう少し詳しく書いていこうと思います。

なお、分かち書きは明確な基準はなく、細部では、人によって違ってきます。

品詞分け

ローマ字表記での分かち書きに近い書き方です。

「私 は きのう 近所 の 友達 と 一緒 に 学校 に いきました。」

"Watashi wa kinou kinjo no tomodachi to issho ni gakkkou ni ikimashita.

助詞は、それがつく名詞から切り離します。(「えんぴつ と けしゴム」。ただし、接続助詞の"て"は前の言葉に続けます。「○○ を 見て こう 思った。」」

助動詞はそれがつく動詞とつなぎます(例:「うしなわれた 30 ねん」。ただし、サ変動詞の活用語尾や「だ/です」は切り離す、というのが普通のようです(例:「議論 する」、「とうぜん だ」

分節分け

この方法は、実は小学校低学年の「こくご」の教科書で読んで、はじめてはっきりと認識するようになりました。

(この記事の末尾に、今回参考にした教科書の情報を載せました。)

たとえば、次のような書き方です。

「みつけた ことばを ていねいに かきましょう。」

ネットで探すと、「"ね"を入れることができるところで切る方法」のような説明がありました。上の例で言うと、「みつけた"ネ"ことばを"ネ"ていねいに"ネ"かきましょう。」という具合です。

小学一年生に"助詞"なんて言っても分かりませんから、このほうほうなら、ある程度見当がつきますね。

私自身、このシリーズの記事の最初で、夏目漱石の「我が輩は猫である」の冒頭をかな表記した時は"品詞分け"で書きましたが、あとではもっぱら"分節分け"にしてきました。

ローマ字表記なら品詞分けでも良いでしょうが、かな表記では分節分けの方が読みやすいように思います。

おもしろいことに、小学一年の教科書で、「文章に書きましょう」というページに、生徒がマス目の入った原稿用紙に手書きするイメージで載った文章は、分かち書きでいないのです。以下に引用してみます。

なお、引用元は縦書きですが、ここでは横書きにしました。また、マス目の中の文字は手書き風のフォントです。

ともだちに はなした ことを、
かきましょう。

       
 
   

小学一年の児童が手書きしたイメージの部分の文章は、分かち書きになっていないのです。

これは思うに、小学一年生に対して、分かち書きをどうしたらいいのかを説明することができないからでしょう。

品詞とか分節といっても分からないし、上に書いた「"ね"を入れることができるところで切る」といっても、分かってもらえないでしょうね。

このように、教科書の文章は分かち書きになっていて、児童が手書きするときにはは分かち書きをしない、という例は、二年の国語の教科書でも同じです。児童が読む文章は分かち書きで書かれているのに、児童が手書きするときには分かち書きをしないのです。

なお、三年の国語の教科書では、分かち書きが使われていません。


このような処理方法は、常用漢字で新たに当用漢字に追加された漢字が旧字体を踏襲した際の扱い方に似ていますね。

どういうことかというと、賭博の"賭"の"日の上の点"、餃子の"餃"の食偏(𩙿)、"謎"における二点しんにょう(辶)は、手書きの場合には、それぞれ、"日の上の点"は不要、食偏(𩙿)は当用漢字の書体(飠)で良い、二点しんにょうは一点しんにょう(辶)で良い、とされます。これらは、旧字体で書いても良いのか、というと、あまりはっきりはしていないと感じます。当用漢字における新字体と同じで良い、という表現が多いので、積極的に「どちらでもよい」、ということはさけられている印象です。

どちらでも良い、と言うのは、実は厄介なことで、「どちらでも良い」という新しい知識を必要とするのです。


備考

参照した小学1~3年の国語の教科書は以下です。なお、各学年の教科書はそれぞれ、上下の2冊に別れていますが、今回は「上」のみを参照しました。2分冊にしているのは、教科書が重すぎないように、という配慮でしょう。

(1) 国語 一上|かざぐるま  光村図書出版 令和6年2月
(2) 新編 新しい国語 二上 東京書籍 令和6年2月
(3) 国語 三上|わかば  光村図書出版 令和6年2月


[ページの先頭に戻る]参考文献・辞書等の共通引用元情報について