日本語のあれこれ日記【41】

原始日本語の手がかりを探る[32]―諸言語の数詞の比較[その2]-3と6、4と8のペア

[2018/9/17]


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3/4と4/8のペア

前回の諸言語の数詞の比較の続きです。

前々回の記事の【追記】で触れましたように、3と6、4と8の2組は特徴があります。

それぞれは先頭の子音が共通(mとy)で、母音の違いで区別されます。

また四つの数の母音はa,i,u,oの基本4母音を使い切っています。

今回は、3と6、4と8の2組の特徴が、他の各言語のなかにあるかどうかを調べます。

3/6について

どちらも1音節である、ということは後回しにして、どちらも"m"で始まる、条件で言語を抽出します。

その結果、日本語のグループを除いて44言語が見つかりました。

前回のように、言葉の全体的な印象が"あまりに"日本語とかけ離れているものを除いた結果、下記のように6言語が残りました。

表1 3と6について日本語に少しでも似ている数詞の例(言語別)

言語No 言語 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
古日本語 fito futa mi yo itu mu nana ya kokonu towo
502 Hona tɪ̀tal suɣurì maxə̀n faɗà tufù mɪ̀ki mɨɗu wùvwəɗà wùtàrè gumdìɗi
525 Hurza (Pelasla) bílè cáw maŋgàn fúɗù dárà márkà cíɓà žírè táhkà jím
526 Muktele (Matal) tékùlá sə́lá mákə̀r ùfáɗ ə́dlù mùkwá mùdúf mìtìgíš ládə̀gá klú
588 Geji nɨ̀m lôp mèkən wupsì nə̀mtəŋ mukkə̀ niningi wùsupsì nə̀topsì kuƚ
593 Zeem nàmi rwàpi mààŋki woptsèì namtam makkà bakwàì takwàs tarà goomà
3335 +Piro eu-i-yu wi-yú môn-tu we-no an-tao ma-seu tsu-wuh hui-li-yú hua-weh tên-yo

最初の"古日本語"は筆者が今まで使用した表記で、残りの6言語は前回の記事で紹介した zompist さんのサイトの情報から取り出しました。

今まで、"fito,futa"と書いてきましたが、そろそろ"pito,puta"に改めても良い時期かな、と迷っているところです。
("pito,puta"から"fito,futa"、さらに"hito,futa"という変遷を辿ったという事は広く認められているようなので)。

実際には、日本語とはまるで共通点がない言語が並んでいます。

4/8について

上記の3/6の場合と同様に、どちらも1音節である、ということは後回しにして、どちらも"y"で始まる、条件で言語を抽出します。

ただし、日本語でも8について、jで始まる表記がありますので、"yまたはj"とします

その結果、日本語のグループを除いて5言語だけでした。

前回のように、言葉の全体的な印象が"あまりに"日本語とかけ離れているものを除いた結果、下記のように5言語が残りました。

表2 4と8について日本語に少しでも似ている数詞の例(言語別)

言語No 言語 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
古日本語 fito futa mi yo itu mu nana ya kokonu towo
727 Mamvu relí juè jenɔ̀ jeţɔ̀ jimbu elí qɔdὲ [1] elí qɔdὲ [2] jeţɔ́jeţɔ́ elí qɔdὲ [4]̀ elí ɓòsí
917 Yanda tùmá: yè-nɔ́: yè-tá:ndù yè-cɛ́zɔ́ yè-nûm yè-kúlé yè-swɛ́: yè-sá:gè yè-twâ: yè-pîyél
930 Viemo duunde niini saasi juumi kwɛge kõnuura kõniise juumicɔ niini kõmedifɛrɔ koomo
1719 Orok umūke ɪla jīn tụnda nuŋgu nada jaqpụ xuyu jōn
2218 Zaozou nǣ̱ sæ̱̀ yi ŋə̀ k’aq jā̱ c’ē

まとめ

1~10の数え方で、日本語において特徴的なことについて他の各言語に似たものは無いか、と探したのですが、まるでありませんでした。

特に具体例は挙げませんが、1~10の範囲で"e"の母音を全く含まない言語は95ありました。これは思った以上に多い数でした。ただし、それ以上分析する方法が分らないために手つかずです。

ここで"e"とは、"e,ē,ë,è,é,ɛ,έ,ὲ,ɛ,ɛ"の10種類の記号で表される音(おん)を代表しています。

又、1音節が(C)Vという形、つまり1音が母音一つ、又は子音+母音、これは言い換えると二つ以上の子音は続かない、という事ですが、これに該当する言語は思ったよりずいぶん多かったです。

日本語のように一つの音(おん)は母音で終わる、というのは全世界では決して少ないのではない、という事です。

1例として、前回の記事で、Yungur(Bena)という言語が出てきたときに、どの地域か、ということを調べてみました。

Yungur(Bena)というのは、ナイジェリアの東部、カメルーンとの故郷付近に住んでいる人々です。人種という大きなくくりではありません。人口は18万人程度です。

この地方の町・村の名前を地図で見ていると、響きが日本語に近い例が多いです。

州名はAdamawaで、この周辺の町・村を適当に選ぶと、Dikwa, Maiduguri, Mubi, Yola, Jalinga, Wukariなどなど。アフリカの他の地域も同様に音(おん)はCV型が多いです。

イタリア、スペインなどがCV型を基本としていて、また南北アメリカの地名もCV型が多いです。

ただし、日本のように、子音で終わる地名が方言を除くと存在しない、ということで、これと類似の地方を探す、という方法は残っています。ただし、植民地化されているケースが多く、昔からの現地の言葉での地名と、植民地支配者が持ち込んだ地名を一つ一つ区別していくのは難しそうです。


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