おはなし【1】

げーる と げーこ の おはなし


[2024/12/11]

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げーる と げーこ の おはなし

(かえるには、どうして おへそが ないの?)


げーるは、おとうさんの かえる、

げーこは、おかあさんの かえる、

かみさまが、さいしょにつくった かえるです。

さいしょは おへそが ありました。


あるとき げーるとげーこは、はじてめて、かみさまのいえから そとに でてみました。


あるきながら、げーるが いいました。

「なんだか おへそは おかしいな。げーこの おへそを たべちゃおうかな。」

げーこも こたえて いいました。

「やっぱり おへそは おかしいわ。げーるの おへそを たべちゃおうかしら。」


だけど、おへそがないと、

おなかも せなかも わからない。

おふろにはいるとき、おへそのついている おなかを さきに あらうんだよ、と

かみさまに いつもいわれているのです。

おへそがなかったら、どこからあらうのか、こまってしまう。


げーるが いいました。

「いいかんがえがある。

 おなかには、おなか、せなかには、せなか、と かいておけば いいんだ。」


げーこが いいました。

「せなかに、せなか、と かいたって、せなかの じ なんか みえないわ。」


げーるは ちょっと かんがえてから いいました。

「それなら、おなかに、おなか、と、せなか、と りょうほうかけば よくみえるよ。」

げーこは かんしんして いいました。

「なあるほど。それなら だいじょうぶね。」


げーるは おなかが とっても すいていたので、

げーこの おへそを いそいで たべちゃいました。


ところが、おへそをたべちゃったので、どこが おなかなのか わかりません。


「ああ こまった。おなか、と、せなか、と ふたつ おなかに かきたいんだけど、いったい どこに かいたらいいんだ。」


げーこは おこって いいました。

「げーるは ほんとに

いやしいんだから。

 あたしは、さいしょに、

おなか とせなか の

ふたつを かいておくわ。」


げーこは、げーるのおなかに、

おなか、せなか、と、かいてから、

げーるの おへそを、ゆっくり たべました。


「あーっ、」

げーるが さけびました。

「ここには、おなかとせなかの

りょうほうが かいてあるぞ。

これでは、おなか なのか 

せなか なのか、わからないよ。」


こうして、せかいで いちばん さいしょの かえるには、おへそが なくなってしまいました。

それで、どちらが おなか で、どちらが せなか なのか、ちっともわかりません。


「しょうがないね。かみさまに あやまって、また おへそを つけてもらおう。」


げーこは、げーるにかいた

おなかと せなかの じ を

けしました。


そして、げーると げーこは、とぼとぼと、かみさまの いえに かえっていきました。


でも、かみさまも おおいそがし。

かえるを つくったあとは、

いぬや、うまや、ことりや、

きんぎょや、きりんや、

たくさん つくるものが あるんです。

ぐずぐずしていたら、かみさまの かみさまに しかられる。

かえるの ことなんか、みてやる ひまも ありません。


それで、いまでも、かえるは、おおごえで ないているんです。


「げーこ、げーこ、げーる、げーる、

かみさま、おねがいです。

わたしたちに おへそを つけて くださいな。」


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