世界での日本のランキング[3]―World Press Freedom Index 世界報道自由度指数2019


[2019/7/22]

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【3】World Press Freedom Index 世界報道自由度指数2019

World Press Freedom Index 世界報道自由度指数2019

World Press Freedom Indexというものがあります。

引用・リンク可であることは許可を得ています。

発行元は"Reporters Without Borders"というところで、パリに本部が置かれています。

World Press Freedom Indexとは何を評価するのか、というと、" the level of freedom available to journalists"とあります。"ジャーナリストにとっての活動の自由度"という所でしょうか。ですから、これをおびやかすものは、典型的には政府による報道に対する圧力や個人・グループによるジャーナリストや報道機関を狙ったテロなどです。

"Nor is it an indicator of the quality of journalism"と言うところが強調されているように、ジャーナリズム自体の質を評価するものですありません。

おおよそは次のようなものです。(当サイト管理人の理解の範囲です)

(1) 87の質問からなるアンケートを20の言語に翻訳し、各国の関係者に配布し、評価点を求める

(2) 評価点とは、各質問に対して、0: 可能な範囲の最良、100: 可能な範囲の最悪、という101段階で評価する。従って、数字は小さい方が良いことになる。

(3) 誰が評価点を答えるかというと、"media professionals, lawyers and sociologists"とされている。

media professionals とは報道関係者とでも訳せばいいのでしょう。lawyers は法律家というよりは弁護士でしょう。sociologists は社会学者としか言いようがないのですが、そうすると大学で社会学を研究・教育している教授などというイメージです。正直を言うと、いまひとつ具体的なイメージがつかめません。

政府による言論の締め付けや一部のグループによる報道機関に対するテロが横行しているような状況では、このようなアンケートに回答すること自体が危険な行為になります。そのような状況では正確に回答すること自体が危険であることも考慮すべきではないかと思います。これについては後述します。

ここでは詳細を省きますが、質問のカテゴリーの解説や評価点の集計の方法についても詳しく書かれています。

指標あるいはランキング

例によって、上位のグループ、日本の前後のグループ、下位のグループに分けて見ることにします。

まず上位20カ国を見ていきます。

総合評価を中心に見ていきます。評価点は元データは小数点以下2桁までの表記ですが、この数値がそれほど詳しい精度を持つとは思われませんので、ここでは小数点以下1位までとします。

上位の国

上位20カ国は次の様になっています。

表1 1~20位

順位国名評価点
1Norway7.8
2Finland7.9
3Sweden8.3
4Netherlands8.6
5Denmark9.9
6Switzerland10.5
7New Zealand10.8
8Jamaica11.1
9Belgium12.1
10Costa Rica12.2
11Estonia12.3
12Portugal12.6
13Germany14.6
14Iceland14.7
15Ireland15.0
16Austria15.3
17Luxembourg15.7
18Canada15.7
19Uruguay16.1
20Surinam16.4

上位にはヨーロッパの国々が並んでいます。20カ国中の14カ国を占めます。

ですからそれ以外の6カ国というのが目立ちます。オセアニア州のニュージーランド、中米のジャマイカ、コスタ・リカ、南米のウルグアイ、スリナム、北米のカナダです。4カ国が中南米なんですね。健闘しています。

ということはアジア、アフリカからは1カ国も入らなかったわけです。

全体的な傾向としては、前々回の「世界幸福度ランキング2019」に似ています。

日本とその前後

日本とその前後10カ国は以下です。

表2 57~77位

順位国名評価点
57Argentina28.3
58Mauritius28.5
59Poland28.9
60Georgia29.0
61Armenia29.0
62Haïti29.0
63Bosnia-Herzegovina29.0
64Croatia29.0
65Greece29.1
66Niger29.3
67Japan29.4
68Malawi29.4
69Seychelles29.4
70Mongolia29.5
71Côte d’Ivoire29.5
72Tunisia29.6
73Hong Kong29.7
74Northern Cyprus29.7
75Kosovo29.7
76Togo29.7
77Malta29.7

アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパなどいろいろな国が含まれています。

下位の国

下位20カ国は次の様になっています。

表3 161~180位

順位国名評価点
161Tajikistan54.0
162Libya55.8
163Egypt56.5
164Somalia57.2
165Equatorial Guinea58.4
166Azerbaijan59.1
167Bahrain61.3
168Yemen61.7
169Cuba63.8
170Iran64.4
171Laos64.5
172Saudi Arabia65.9
173Djibouti71.4
174Syria71.8
175Sudan72.5
176Vietnam74.9
177China78.9
178Eritrea80.3
179North Korea83.4
180Turkmenistan85.4

アフリカや中近東の国が多いような傾向です。

現在、あるいは最近まで紛争があった国というイメージです。

最下位はトルクメニスタン、次が北朝鮮、その次がエリトリア、その次が中国です。トルクメニスタンとエリトリアについてはよく分かりません。北朝鮮や中国では誰が回答したのでしょうか。回答しただけで逮捕されてしまいそうな感じがします。

サウジアラビアは下から8番目です。つい最近、記者が在トルコ大使館で殺害された、というニュースが世界中を駆け巡りました。

なじみのある国々

意外に、よく見聞きする国々でここまでに入らなかった国を眺めてみます。

表4 なじみのある国々

順位国名評価点
32France22.2
33United Kingdom22.2
41South Korea24.9
42Taiwan25.0
43Italy25.0
48United States25.7

前回はG7の国々という点からまとめたところがありました。ここにはG7の国が4カ国入っています。残りの3カ国は、というと、上位20位以内ににドイツとカナダ、ずっと後に日本ということになります。

つまり、ドイツ(13位)、カナダ(18位)、32~48位にフランス(32位)、イギリス(33位)、イタリア(43位)、アメリカ合衆国(48位)、日本(67位)ということになります。

報道の自由にはうるさいというイメージがあるアメリカ合衆国が意外に低位置にいます。国別の詳細な解説を読むと、「トランプ政権の2年目で、報道の自由度は低下し続けている」、と言う内容が書かれています。

トランプ大統領・政権とそれに近い人たちの振る舞いが問題であるかのように受け取れます。

しかし、過去の6年間(2014~2019)の推移を見ると、46→49→41→43→45→48ですから、40番台が定位置といえます。順位の上では、トランプ大統領・政権が突出して報道機関を攻撃しているというものではない様に見られます。

ただし、トランプ大統領は2017年1月に大統領に就任していますから、就任以来、一貫して低下し続けたことは確かです。

備考

この記事は2019年7月の参院選の期間中に書きました。ただし、選挙期間中に選挙に何らかの影響があることをすることには様々な規制があり、特にインターネットを使う場合には規制の境界があやふやです。そこで、念のためですが、この記事は投票締め切り後にアップする、すなわち公開することにしました。私はジャーナリストではありませんが、このような記事は一種の報道ととらえることができ、その点で規制とか圧力(の予想)を感じる、というわけで、やはり"自由さ"が制限されている、ということなんだな、と感じました。

ランキングのまとめ

過去の記事での日本のランクをまとめておきます。


通算番号ランキング名称調査対象国数日本のランク日本のランク/国数(%)
1World Happiness Index
世界幸福度指数 2019
1565837
2World Giving Index
世界人助け指数 2018
14412889
3World Press Freedom Index
世界報道自由度指数 2019
1806737

項番1はいままで世界幸福度ランキングとしていましたが、世界幸福度指数という方が適切と思われますので変更します。



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