創作ことわざ
[2021/1/28]-123日目
「言い訳」という言葉については問題があります。
最近は悪い意味で使う例がほとんどではないかと思います。
失敗をした時、問題を起こしたときに、責任を逃れるためにウソの理由を言う、という場合に使うというイメージです。
ですが、「言い訳」とは"訳(わけ)"を言うことですから、「実はこれこれこういう訳(わけ)です」と、単に物事の説明をするのがもともとの意味なのかな、と思ったりします。
辞書を見ると、「言い分く」という動詞が元になっているようで、現代語風に言うと「言い分ける」です。「これは○○、あれは○○」と区別して言うことのようです。
ですから、物事や事情を説明する、と言うことです。
辞書には、悪いニュアンスを取り上げているものは目にした範囲ではありませんでした。
ですから、最近になって、もっぱら悪い意味で使われることになったのはどうしてなのか。
想像すると、世の中で「責任を逃れるためにウソの理由を言う」ということが多くなり、それに対して「言い訳」という言葉を利用した、ということではないかと思います。
私もここでは「責任を逃れるためにウソの理由を言う」という意味で使っています。
「言い訳」を「いいわけ」とだじゃれにしたものです。
ウソはいけないです。
ウソではなくても、真実から外れるのも同じです。
自分に都合の良いことを強調して、都合の悪いことを取り上げない(隠すのは当然として)という消極的なウソもだめです。
最近の政治家の不祥事の場合、ほとんどが悪い意味での言い訳です。
真実が語られません。
疑惑に対して、とりあえずその場逃れの言葉を発します。
疑惑を晴らすことには失敗しているのです。しかし気にしていないのは、次の選挙で勝てると踏んでいるのでしょう。
理由を説明することは大事です。
ところがこれが否定されることがあるのですね。
「言い訳を言うな」と言われる場合です。
とにかく謝れ、というものです。これはこれでまずい状態です。
真実は何なのか、ということについて、それを追究しようとしないのです。
それに似た言葉で「理屈を言うな」という言葉があり、このサイトでもすでに二回取り上げています。一つは前書き・後書きのところで、もう一カ所は司馬江漢の「春波楼筆記」を読むという記事の中です。
ですから、今回の言葉は正確には、「(ウソの)言い訳はいいわけがない」ということです。
いずれにしても、事実を考え議論する精神がこれからこの国で育っていくことを願わずにはいられません。