創作ことわざ
[2020/10/9]-12日目
「人生山あり谷あり」とは昔から言われてきました。
解釈は複数あるようです。山は良いこと、谷は悪いこととして、「人生には良いときも悪いときもある」とするものや、山も谷も厳しいものと解釈して、「人生は苦しいことの連続」などです。
山に登る人には圧倒的に後者をとるでしょうね。
山道を歩くとき、上りがきついことはもちろんですが、下りも重いザックを背負うと"きつい"のです。自分の体重にザックの重みが加わって膝と腰にくるのです。
山歩きをして一番の楽しみは、山頂に着いたときに見る景色の美しさではないでしょうか。360度ぐるっと眺め渡す。遠くにはもっと高い峰が見え、麓には集落があれば田畑があり、道路があります。心地よい風が吹いてきて、汗が乾く。実に気分がいいものです。
でも、そのままそこにいると、決して楽しいものではありません。
山頂では、夜になって気温が下がり、風も強くなり、霧で周囲が見えなくなるときもあり、雨が降ってきたらずぶ濡れです。
水、食べ物も不自由です。
また谷に下りれば、景色はおおむねおもしろくはありませんが、小川があって冷たい水が飲めます。
でも、水を飲むといってもわずかなもので、景色といっても新緑や紅葉はきれいですが、変化がなく、すぐに飽きます。
つまり楽しい時間もあるが、それはつかの間、ということです。
人生は苦難の連続、でもところどころに安らぎがある、というところでしょう。
不満であっても、どうしようもありません。
ありのままを受け入れる以外に方法はないのです。そういうものだと納得するしかありません。
山頂からちょっと下がって、洞穴(ほらあな)が見つかったらそれはラッキーというべきものでしょう。
雨風をしのぐことができて、最小限の心地よさは確保できます。一時的な避難所です。
人生にも、緊急避難のための避難所が必要ではないでしょうか。
それは人によって違うものでしょう。
家族、信頼できる友人、あるいは没頭できる趣味だったり。
あくせくして過ごす日々の中で、時には洞穴に逃げ込んで苦しい時期をやり過ごす。
積極的に問題解決をはかる、というのではなく、ただ時が過ぎるのを待つ。
人にはそのようなところが必要ではないでしょうか。