日本語のあれこれ日記【72】

日本語と漢字―その18―かな書きの童話

[2024/12/5]


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【簡単な説明】

(1) この記事の童話については、前回の記事で触れました

(2) 手元に、以前に書いた童話が6編残っています。そのうちの1編だけは4年前の作品で、残りは28年前に書いたものです。以下では、そのなかから、一番短い話と、一番長い話を選びました。

(3) いつか、挿絵を付けて、印刷して、孫に読んでもらおうと考えていましたが、私が挿絵を描くことができず、また、書いてもらえる人も見つかりませんでしたので、そのままになっていました。1編はネットにアップロードされている著作権フリーのイラストを使って挿絵にしようと試みましたが、適切なイラストが見つからず、うまくいきませんでした。

(4) 今から28年ほど前に、5編のお話をまとめました。その文章を、5年ほど前に、見直して修正した痕跡があります。今回は、それをほとんどそのままの形で収録しました。ただし、後の方の話に、歌を歌う場面があり、「線路は続くよどこまでも」の歌詞を使っていました。今回はネット上に公開するので、著作権の問題が発生します。著作権が切れた歌を探しましたが、適する歌詞の歌が見つからなかったため、やむなく自作しました。お粗末な歌詞ですが、仕方がありません。

(5) 4年前に、我が家の庭のあるアヒルの置物を題材にして、童話に仕上げました。この置物と周囲の庭のようすを写真撮影して、挿絵風に編集し、絵本の体裁にして印刷して、孫に届けました。予想以上に面白がってくれたのは、うれしいことでした。

(6) 以下のふたつのお話の著作権はこのサイトの管理人にあります。もともと、このサイトの内容は、他からの引用部分を除いて、すべて、著作権はこのサイトの管理人にあります。

もくじ


1. げーる と げーこ の おはなし


2. ポンタちゃんの ちていたんけん


げーる と げーこ の おはなし

(かえるには、どうしておへそがないの?)


げーるは、おとうさんのかえる、

げーこは、おかあさんのかえる、

かみさまが、さいしょにつくったかえるです。

さいしょはおへそがありました。


あるときげーるとげーこは、はじてめて、かみさまのいえからそとにでてみました。


あるきながら、げーるがいいました。

「なんだかおへそはおかしいな。げーこのおへそをたべちゃおうかな。」

げーこもこたえていいました。

「やっぱりおへそはおかしいわ。げーるのおへそをたべちゃおうかしら。」


だけど、おへそがないと、

おなかもせなかもわからない。

おふろにはいるとき、おへそのついているおなかをさきにあらうんだよ、と

かみさまにいつもいわれているのです。

おへそがなかったら、どこからあらうのか、こまってしまう。


げーるがいいました。

「いいかんがえがある。

 おなかには、おなか、せなかには、せなか、とかいておけばいいんだ。」


げーこがいいました。

「せなかに、せなか、とかいたって、せなかのじなんかみえないわ。」


げーるはちょっとかんがえてからいいました。

「それなら、おなかに、おなか、と、せなか、とりょうほうかけば よくみえるよ。」

げーこはかんしんしていいました。

「なあるほど。それならだいじょうぶね。」


げーるはおなかがとってもすいていたので、

げーこのおへそをいそいでたべちゃいました。


ところが、おへそをたべちゃったので、どこがおなかなのかわかりません。


「ああこまった。おなか、と、せなか、と ふたつおなかにかきたいんだけど、いったいどこにかいたらいいんだ。」


げーこはおこっていいました。

「げーるはほんとに

いやしいんだから。

 あたしは、さいしょに、

おなか とせなか の

ふたつをかいておくわ。」


げーこは、げーるのおなかに、

おなか、せなか、と、かいてから、

げーるのおへそを、ゆっくりたべました。


「あーっ、」

げーるがさけびました。

「ここには、おなかとせなか

の りょうほうがかいてあるぞ。

これでは、おなかなのか 

せなかなのか、わからないよ。」


こうして、せかいでいちばんさいしょのかえるには、おへそがなくなってしまいました。

それで、どちらが おなか で、どちらが せなか なのか、ちっともわかりません。


「しょうがないね。かみさまにあやまって、またおへそをつけてもらおう。」


げーこは、げーるにかいた

おなかとせなかのじを

けしました。


そして、げーるとげーこは、とぼとぼと、かみさまのいえに かえっていきました。


でも、かみさまもおおいそがし。

かえるをつくったあとは、

 いぬや、うまや、ことりや、

 きんぎょや、きりんや、

たくさんつくるものがあるんです。

ぐずぐずしていたら、かみさまのかみさまにしかられる。

かえるのことなんか、みてやるひまもありません。


それで、いまでも、かえるは、おおごえでないているんです。


「げーこ、げーこ、げーる、げーる、

かみさま、おねがいです。

わたしたちにおへそをつけてくださいな。」


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1996/1/2 初版
2019/5/20 第2版
2024/12/5 第3版 (html形式)




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ポンタちゃんの ちていたんけん


(1)おあそび

 きのうからなつやすみです。ポンタちゃんは、きのう、おかあさんと、おばあちゃんといっしょに、デパートにいきました。きょうは、ピンコちゃんと、プンタちゃんと、3にんで、じてんしゃのりにでかけました。


 ようちえんのまえのどうろを、まっすぐに、やまのほうにむかっていきました。やまにつかづくと、だんだんすずしくなって、きもちがよくなってきました。


 ひろばがあって、そこで3にんは、じてんしゃのきょうそうをしました。ポンタちゃんは、1かいだけかちました。ピンコちゃんは、はりきりすぎて、がけのちかくでころんでしまいました。ポンタちゃんとプンタちゃんがたすけて、おこしてあげました。ひざをすりむいて、ちがでてしまいましたが、ピンコちゃんは、がまんしました。3にんは、すこしやすむことにしました。


 まるたのうえにこしかけて、3にんは、ゆうべみたゆめのおはなしをしました。そらをみると、あおいそらに、しろいにゅうどうぐもが、はっきりとみえました。


  じいじいじいじい、じいじいじいじい

  じいじいじいじい、じいじいじいじい

 せみがなきだしました。あまりうるさいので、こんどは、せみとりをすることにしました。まるたからいちばんちかい、おおきなきをめざして、すすきをかきわけて、あるいていきました。せみは、おおきなきのえだがわかれているところにとまっているのが、みえました。


「ぼくが、きに、のぼって、つかまえるよ。」

プンタちゃんは、きのぼりがうまいのです。プンタちゃんは、すこずつ、のぼっていきました。


したから、ポンタちゃんと、ピンコちゃんが、おうえんしました。

「プンタちゃん、がんばれえ。」

「でも、きをつけてね。」


 プンタちゃんは、もうすこしで、てをのばせば、せみにてがとどくところまできましたが、そのとき、とつぜん、

  じじじじじじじじ

といって、せみがとんでいってしまいました。

「ああああっ」

 プンタちゃんがさけんだとき、もう、せみは、どこにもみえません。

「あああ、もうすこしだったのに。」

 プンタちゃんは、がっかりして、えだのところまであがってやすみました。


 まわりをみわたすと、とてもきもちがいいです。まわりをぐるっとみわたしていると、がけのところに、ちいさなほらあながみえしまた。

「おおい、ほらあながあるぞお。」

 プンタちゃんは、したにいるふたりにむかっていいました。


「よし、こんどは、ほらあなをたんけんしよう。」

 3にんは、ほらあなにむかってあるいていきました。


 ほらあなは、すぐみつかりました。ちいさいので、てとひざをついて、ポンタちゃんがかっているコロといういぬのように、あたまをひくくして、よつんばいになって、すすんでいきました。

 すこしすすむと、あながおおきくなって、たてるようになりました。ちょうどそのところで、ひだりのかべのところに、くぼみがあって、なにかが、おいてあるのがみえました。さびついたきんこのようなものでした。

「なんだろう、これは。」

「とにかく、そとにもっていこう。」


(2)さびたきんこ


 3にんは、そのさびついたものを、ほらあなのそとまで、はこびだしました。

 よくみると、やはり、きんこでした。

「おうちにも、おなじものがあるわ。」

ピンコちゃんがいいました。

「でも、ダイヤルをまわさないと、あけられないのよ。」

だいやるはありましたが、ばんごうがわかりません。しかも、だいやるが、さびていて、うごきません。

「ぼくがあけてみせるよ。」ポンタちゃんは、おおきないしをもってきて、

「ちょっと、はなれていて。」

そういうと、いしをきんこになげつけました。

「がらがっかあん。」

きんこのふたがすこし、うごいたようにみえましたが、まだまだひらきません。

 ポンタちゃんは、いしをなんどもなんどもぶつけました。そのうち、ふたが、すこしひらきました。


「もうすこしだ。」

 つぎにいしをなげると、

「ばりばり」

といって、ふたがひらきました。


 3にんは、ちかづいて、きんこのなかに、なにがあるのかをしらべました。

 たまごのようなかたちをしたいしがふたつと、おりたたんだかみがありました。かみをひらいてみると、ちずのようでした。


 かみのまんなかに、おおきな、ばつじるし、そのとなりにくろいまるが、かいてあります。ばつじるしのうえに、なにか

かいてありましたが、みたこともないじで、よめません。

「くろいまるは、ほらあなだわ、きっと。」

くいろまるは、3にんが、なんどかいったことのあるてんじんやまにあるようです。

「よし、あした、このほらあなをたんけんしよう。」

「おなかがすくかもしれないから、おにぎりをもっていこう。とちゅうのセブンイレブンでかえばいいよ。」

「なかはきっとくらいから、かいちゅうでんとうをもってくるわ。」

「このちずはぼくがもっているよ。」

 3にんのそうだんがまとまりました。


(3)てんじんやま


 つぎのひも、いいてんきでした。ポンタちゃんと、ピンコちゃんと、プンタちゃんの3にんは、きょうも、じてんしゃで、あつまりました。ピンコちゃんは、かいちゅうでんとうをもっています。


 3にんは、きのうみつけたほらあなのところまで、じてんしゃでいくことにしました。とちゅうに、セブンイレブンのみせがあるので、おにぎりをひとつずつかいました。ポンタちゃんはしゃけおにぎり、ピンコちゃんはしょうゆおにぎり、プンタちゃんは、おかかおにぎりでした。ポンタちゃんのじてんしゃにかごがついているので、おにぎりは、そのかごのなかにいれました。かいちゅうでんとうも、いっしょです。


 きのうのほらあなのまえに、じてんしゃをとめました。きのうあけたきんこが、そのままになっていました。たまごのかたちをしたいしも、そばにころがっています。


「きんこといしを、みつからないように、かくしておこう。」

3にんは、まるたのうしろの、くさがぼうぼうになっているところに、きんこといしをかくしました。

「これならみえないぞ。」


 ここから、てんじんやままでは、みちがほそいので、じてんしゃをおりて、あるいていくことにしました。おにぎりは、プンタちゃんがもってきたかばんにいれて、かいちゅうでんとうは、ピンコちゃんが、てにもって、あせをかきながら、てんじんやまにむかって、ずんずん、のぼっていきました。


じいじいじいじいじいじい

せみがうるさいくらいにないていますが、きょうは、きにしないで、てんじんやまにのぼっていきました。


「ちずをみると、このあたりだなあ。」

 いわがくずれそうになっているところに、おおきなすぎのきが、いっぽん、たっていました。すぎのきのねもとまでいくと、そのうしろに、ほらあながみえました。


「あれだ。」

 3にんは、どうじにいいました。

「ちずのばつじるしは、このおおきなすぎのきだったんだ。」

 ほらあなは、きのうみつけたほらあなよりも、ずっとおおきいので、3にんは、なかにはいると、たったまま、ずんずんすすんでいきました。


(4)ほらあな


 とちゅうから、くだりのかいだんになっていました。かいだんをどんどんおりていくと、すこしさむくなってきました。とちゅうからつららがでてきて、それがだんだんと、ながくなっていくのでした。ずいぶんさむいので、3にんは、うえにきるものをもってくればよかったとおもいました。でも、かいだんはこおっていなかったので、すべるしんぱいはありません。


「さむいねえ。」

 ポンタちゃんがいいました。

「いまごろ、おかあさんやおとうさんは、どうしているかなあ。」

 ピンコちゃんがいいました。

「おとうさんやおかあさんのことをいってはだめだよ。」

 ポンタちゃんが、いそいでいいました。みんな、すこし、しんぱいになってきたのを、がまんしているのです。

「もうすこしでいちじかんがたつよ。」

 プンタちゃんがいいました。うでどけいをもっているのは、プンタちゃんだけです。

 3にんは、ちょうどひろいところにでたので、すこしやすむことにしました。

 ちかくのいわがでているところに、めいめいがすわりました。だまってすわっていると、とってもしずかでさびしいので、うたをうたいました。


「あおぞらたかく、とぶヒバリ、しろいくもよりたかいのか。ここまでとんで、おりてこい、みんないっしょに、あそぼうよ。」


 さびしくならないように、できるだけおおきなこえでうたいました。


 ちょうどうたいおわったときです。

「どどどどどどどっ」

 へんなおとがするかとおもったら、じしんがおこりました。


 3にんは、おもわずたちあがりました。てんじょうからは、ちいさないしが、ばらばらばらばら、とおちてきます。3にんは、かべぎわにかたまって、じっとしていました。


 どのくらいじかんがたったのでしょうか。じしんはおさまっていました。でも、つちけむりが、もうもうとしていて、まわりがよくみえません。

 ピンコちゃんが、かいちゅうでんとうをつけました。

「あっ、あなだ。」

 いまのじしんでできたのでしょうか。いままでたっていたところのすぐちかくのかべに、おおきなあながあいていました。

 このあなをよくみると、とおくが、ぼんやりと、ひかってみえます。

「むこうへいってみよう。」

 ポンタちゃんがいったので、3にんは、てをつないで、このあなのなかに、はいっていきました。


 あなのなかは、あつくもなく、さむくもなく、ちようどいいくらいのあたたかさでした。

 どんどんあるいていくと、やがて、

「ざざあ、ざざあ」

 なみのおとがきこえてきて、うみがあらわれました。さいしょは、きりがたちこめていて、まわりがよくみえませんでしたが、しだいにきりがはれてきて、そこは、かいがんだったことがわかりました。すなはまは、ずっととおくまで、つづいているようです。

 すなはまのはばは、10メートルくらいあって、そのつぎは、たかいきがしげるはやしでした。いろいろなきがしげっていましたが、どれも、みどりいろの、おおきなはっぱがついていて、かぜにゆれていました。


(5)ちていのうみ


 3にんは、あなから、すなはまにとびおりました。

 すなはまは、みんながいったことのある、ちかくのうみとおなじでした。

 よくみると、かいがたくさんおちています。どれも、みたこのがないかたちをしていました。


「じめんのしたに、うみがあるなんて、しんじられない。」

「こまったな。どうやってかえろうか。」

「かいは、きねんに、もっていこう。」

「おなかもすいてきたな。」

 3にんは、まず、おにぎりをたべることにしました。すなはまにこしをおろして、なみのおとをききながら、たべはじめました。

「なにか、のみものをもってくればよかったね。」

「でもおいしい。このまえ、えんそくでたべたときのおにぎりもおいしかったけど、いまのほうが、もっとおいしいわ。」


 いろいろはなしているうちに、

「ズシン、ズシン、ズシン」

「じゅうーっ、じゅうーっ。」

 じひびきがしたかとおもうと、かぜがすこしでてきました。

 3にんがあたりをみわたすと、びっくりぎょうてん。えほんでみた、だいかいじゅうが、はやしのなかから、こちらへあるいてくるのがみえました。


 さあ、たいへん。3にんは、はしって、にげました。


 やがて、すなはまからすこしはなれたところに、いっけんのいえがみえました。ポンタちゃんたち3にんは、とてもつかれていて、やすみたかったので、とにかく、いえのなかのようすをみてみることにしました。


(6)にんぎょのいえ


 まどのすきまから、ポンタちゃんがなかをのぞくと、へやのすみにおふろがありました。おふろのなかには、ひとがいるようでしたが、なんだかようすがおかしいので、よくみると、ひとではなく、にんぎょだったのです。にんぎょのことは、まえに、ほんでみたことがあったので、すぐわかりました。

 ポンタちゃんは、ピンコちゃんとプンタちゃんにいいました。

「なかには、にんぎょがひとりいたよ。」

「そのにんぎょは、いいにんぎょかしら、それともやつらのにんぎょかしら。」

「いいにんぎょだったら、たすけてくれるけど、やつらだったら、3にんともころされちゃうかもしれないよ。」

 3にんは、にんぎょが、いいにんぎょなのか、わるいにんぎょなのか、どうやったらわかるだろうかと、かんがえましたが、いいかんがえがうかびません。

 そのとき、うみのほうをみると、

「あっ、あれは?」

 もうひとりのにんぎょが、こちらのほうにあるいてくるではありませんか。ポンタちゃんたち3にんは、いそいで、いえのかげにかくれました。

 ふたりめのにんぎょは、べにじゃけとおなじくらいのおおきさのさかなを2ひき、くちにくわえて、ずんずんずんずん、とあるいてきました。さて、あしのないにんぎょは、どうやってあるくのでしょうか。さかだちをして、にほんのてをあしのようにしてあるくのです。


 とうとう、このにんぎょは、いえのなかにはいってしまいました。

 ポンタちゃんが、もういちどいえのなかをのぞいてみると、ふたりのにんぎょは、テーブルにさかなをおいて、おしゃべりをしながら、さかなをむしゃむしゃとたべていました。ときどきわらいながら、たのしそうにたべていました。

「もし、やつらだったら、いつもどなりあったり、けんかをしたりするはずだ。でもこのにんぎょは、なかよくさかなをたべている。きっと、いいにんぎょにちがいない。」

 ポンタちゃんは、そうかんがえました。このことを、ピンコちゃんとプンタちゃんにいうと、ふたりもおなじかんがえでした。

「なかよしだったら、きっと、いいにんぎょだわ。」

「きっと、ぼくたちをたすけてくれるよ。」


 そこで3にんは、ドアをノックしました。

「どなたですか?」

 なかで、にんぎょのこえがしました。

「ぼくたち、こども3にんです。かいじゅうがいてこわいんです。たすけてください。」

 ドアがあいて、なかにいれてくれました。


「さあ、なかにいればだいじょうぶよ。でも、みなさんは、いったい、どこからきたの?」

 ポンタちゃんは、いままでのおはなしをしました。

「まあ、みんな、ゆうきがあるのね。」

 にんぎょが、にっこりわらっていいました。

「ところでおなかはすいていないかしら?」

「すいているけど、でも、おさしみは、みんなきらいなんです。」

「あら、こまったわねえ。ここでは、たべるものは、さかなのさしみしかないのよ。」

 にんぎょがこまったようにいいました。

「だったら、こうしましょう。」

 にんぎょは、そういうと、とだなから、わかめをとりだして、わかめのおひたしをつくってくれました。わかめは、3にんともだいすきなので、いっしょうけんめいたべました。

 もうよるなので、3にんは、にんぎょのいえにとめてもらうことをおねがいしました。にんぎょは、にっこりして、とまってらっしゃい、といってくれました。

 ふとんがないので、おおきな、わらのあんだものを、3にんでかぶってねました。ゆかがなくて、すなのうえにねたのでしたが、すなもわらもとてもあたたかく、ちっともさむくはありませんでした。


 つぎのひも、いいてんきでした。3にんは、おきると、にんぎょにいいました。

「おはようございます。たすけていただいて、どうもありがとう。」

「おはよう。みんな、ゆっくりねむれましたか?あさごはんができていますよ。」

 3にんがびっくりしてテーブルをみると、しゃけのようなさかなかをやいたものがよういしてあり、とてもいいにおいがしていました。しんせつなにんぎょは、いままで、さかなをやくようなことはしたことがないのに、みんなのために、やいてくれたのでした。3にんは、おなかいっぱいたべました。


 3にんは、かえりみちをさがさなければなりません。ふたりのにんぎょにおれいをいって、しゅっぱつしました。


(7)かえりたい

  みちがわからないので、とにかく、きたほうにむかってあるきはじめました。

  みぎがわに、くさがはえていてよくわかりませんが、ほらあなのようなものがみえました。

  ちかづいてみると、どうも、ほらあなのようです。このちていのくににくるときは、ほらあなをとおってきたので、かえるみちも、ほらあなのはずです。

 3にんは、ここをしらべてみました。ほらあなをすこしはいったとき、

「ぐらぐらぐらぐら。」

 とつぜん、じしんがはじまりました。ここは、ほらあなです。かくれるところがありません。3にんは、いわがすこしくぼんだところにいっしょにたって、じしんがおわるのをまちました。

 じしんは、なかなかとまりません。そのうちに、もっとはげしく、なってきました。でも、いまはどうしようもなく、まつしかありません。

 そのとき、おそろしいことがおこりました。つなみです。ほらあなのいりぐちのところまで、なみがおしよせてきたのです。なみは、すこしずつちかずいてきたので、やがて、ポンタちゃんたち3にんのところまでうちよせてくるようにみえました。3にんは、こまったけれど、もうもどれません。ほらあなのおくのほうに、どんどんすすむことにしました。


 とちゅうにまるたがありました。

「もし、なみがおしよせてきたら、これにつかまろう。」

 ポンタちゃんがいいました。

 なみは、とうとう、3にんのところまできてしまいました。じしんは、まだ、とまりません。3にんは、まるたに、しっかりとつかまりました。そのしゅんかん、いちだんとおおきななみがきて、まるたは、3にんがつかまったまま、ものすごいスピードでほらあなのおくへながされていきました。


 「しっかりつかまれ。てをはなしたらだめだ。」

 3にんは、たがいにはげましながら、まるたにつかまって、なみにながされていきました。ときどき、まるたがいわのかべにぶつかって

 どぉーーん、

 と、おおきなおとがしますが、3にんは、しっかりと、まるたにつかまっていました。

「たかいところにのぼっていくよ。まえにはいったほらあなのいりぐちにでられるといいね。」

「でも、このほらあながふさがっていたら、ぼくたち、どこへもでられないよ。」

 3にんは、このほらあながちじょうまでつながっていることをおいのりしました。


 いままで、まわりはまっくらだったのに、すこしあかるくなってきました。とつぜん、まぶしいひかりがあらわれたかとおもうと、ものすごいショックがあって、3にんは、きをうしなってしまいました。


 まぶしい。

 ひかりがまぶしい。


 ポンタちゃんがきがつきました。まわりは、やまのようです。みどりのはっぱがいっぱいあるおおきなきが、たくさんみえます。せみが、うるさいくらいにないています。まわりをみわたすと、ピンコちゃんと、プンタちゃんがたおれていました。

「しっかりしろ。だいじょうぶか。」

「あっ、ポンタちゃん。」

「わたしたち、たすかったのかしら。」


 3にんがまわりをよくみると、てんじんやまのようです。すこしあるいていくと、みぎがわに、おおきなすぎのきがありました。

「あれは、ぼくたちが、ほらあなにはいったときにみたすぎのきだ。」

「わたしたち、やっぱりもどれたのね。」


 そのとき、また、はげしいじしんがおこりました。3にんは、いそいで、おおきなすぎのきにしがみつきました。おおきなじひびきがしたのでふりかえると、いまでてきたほらあなから、まっくろいつちけむりがでてきました。しばらくして、じしんがおさまったので、まわりをよくみわたしました。ほらあなは、すっかりつちでうまってしまって、どこにあったのか、わからなくなっています。3にんは、いままでのことをすこしずつおもいだしました。

「わたしたちをたすけてくれた、しんせつなにんぎょさんは、つなみでどうなったかしら。」

「しんじゃったかな。しんぱいだな。」

「きっと、だいじょうぶだよ。にんぎょは、はいとえらがりょうほうあるから、みずのなかでもいきていけるんだ。」


「おおーーーい。」

「ポンタちゃーーーん。」

「ピンコちゃーーーん。」

「プンタちゃーーーん。」


 とおくで、3にんをよぶこえがきこえました。

「あっ、おとうさんとおかあさんだ」

「たすけにきたんだ」


 3にんは、やっと、おとうさんとおかあさんのところにかえることができました。しかられるかもしれませんが、それよりも、やっとかえることができたので、ずっとよかったとおもいました。


おわり。

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1996/2/17 初版
2019/5/21 第2版
2024/12/4 第3版


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