【3】撮影道具3 パノラマ合成ソフト


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[2016/3/2]

パノラマ合成ソフト Image Composite Editor

パノラマ合成はいろいろなところでサポートされているので、紹介する必要はないのかもしれませんが、フリーソフトでありながらとても使いやすく、さほど評判になっているわけではない、ということから取り上げます。

Image Composite Editor (以下ICEと呼ぶ)というものです。Microsoft社からリリースされています。

とてもできがよいソフトで、どうしてMicrosoft社が公開しているのか、その理由は全くわかりません。

ICEの使い方

このソフトの使い方はとても簡単。パノラマでつなぎたいカットを選択して処理させるだけ。写真の並び順はソフトが自動的に判断します。横並びでも縦並びでも、2列、3列でもOK。

私が使っているバージョンは 2.0.3.0(64bit)です。

【1】起動すると、画面上部に"New Panarama From Images", "New Panarama From Video", "Open Existing Panorama" の3つの選択肢があるので、"New Panarama From Images"をクリックします。

画像選択画面になるので、対象画像があるフォルダーを開き、対象画像ファイル(複数個)を選択し、[開く]ボタンをクリックします。

【2】次の画面で、"1 IMPORT", "2 STITCH", "3 CROP", "4 EXPORT" と表示され、その順序で処理がなされることがわかります。選択した画像ファイルが小さなアイコンで表示されています。ここで必要に応じてファイルの追加、削除を行い、[NEXT]をクリックします。

【3】"2 STITCH"のステップです。経過時間がパーセント表示され、合成された画像が方眼の線と共に表示されます。

右側の[Projection]の欄で、Projection(投影方法)、言いかえると"つなぎ方"が選べます。"Cylindrical"、"Mercator"、"Orthgraphic"、など10種類から選択するのですが、よくわかりません。合成後の画角が大きいときには差が顕著に出て、ときにはどれも気に入らない、ということもあります。

大事なことが一つ。画像の中央付近にカーソルを位置づけてマウスの左ボタンを押すと画像を上下にドラッグできます。画像の中央から外れた所では画像を左右にドラッグできます。これによって、画像のパースペクティブ効果(言い方が難しいのですが)が変化します。合成画像の水平・垂直の傾きは、画像に重ねて表紙される方眼の外枠付近にカーソルを位置づけると回転のアイコンに変化します。その位置で画像を回転ドラッグさせることができます。合成後の画像の画角が比較的広い時にはProjection方法の選択と画像のドラッグを行って、望む合成画像に近づけることが必要です。

このときのドラッグ操作では、[Projection]欄の下の[Orientation]の欄の"Roll", "Pitch", "Yaw" の3つの角度値が変化します。逆にこの3つの値を書き変えると、対応して画像の位置が変化します。

Projectionの作用については、私に知識がない(*1)ため、試行錯誤的に行っています。

[NEXT]をクリックします。

【4】"3 CROP"のステップです。長方形のガイドラインが表示され、コーナーの4点と四辺の中央に黒い四角が表示されます。この四角をドラッグすることで長方形を変えてクロップします。通常は、合成後のイメージは周囲が凸凹になってつながっていますので、ここで長方形に裁ち切る必要があります。"Auto crop"を選択すると、画像データのない部分を切り取った最大の長方形の形に切り取られます。

[NEXT]をクリックします。

【5】"4 EXPORT"の画面になり、クロップされた状態の画像が表示されます。jpegの圧縮率などを設定し、"Export to disk..." をクリックすると、出力ファイル指定画面になり、ファイル名などを入力してパノラマ画像ファイルを保存します。

画面が分かりやすく、またProjectionに関すること以外は複雑な設定がないので、大変簡単にパノラマ合成ができます。

このサイトにあるサンプルを貼っておきます。福島県いわき市の白水阿弥陀堂で、そのページの末尾にパノラマ合成した画像があります。

注意点

パノラマ撮影の対象が近景と遠景が重なっている時には、カメラを回転して撮影するときの回転軸の位置が問題になります。ノーダルポイントと呼ばれる位置を中心にしてカメラとレンズを回転させないと、パノラマ合成したときに不連続な(段差が付いた)画像ができ上がります。ノーダルポイントはレンズ内部の光軸上のどこかにあるので、カメラを三脚に載せて雲台のパンによってパノラマ撮影すると回転軸はノーダルポイントとずれます。したがってスライダーの様なものを使って、雲台のパンの軸がレンズのノーダルポイントの位置になるように調節する必要があります。

厄介なのは、ノーダルポイントがレンズに表示されていないことです。その上、ズームレンズの場合、たいていはズーミングでノーダルポイント位置が移動します。

ノーダルポイントの解説としては、久門ご夫妻のサイト"写真道場の仕事"が分かりやすいです。そこにある写真では、ノーダルポイントはボディから離れていて、レンズの中間より先でした。三脚を使ってパノラマ撮影するときにはパンするときの回転の中心はおおむね三脚ねじの所になりますから、それとはだいぶずれています。

備考

(*1) Projectionの作用についての解説資料はないのか、というと、実は英文の物は持っています。読み解くのが大変なので手がつけられていません。

Juergen Gulbins, Rainer Gulbins 著 Photographic Multishot Techniques Rocky Nook Inc. 2nd Printing April 2010

追記[2016/9/23]

上の記事で、Image Composite Editor を紹介していますが、lightroom 6 を導入してからは、lightroom 6のパノラマ合成機能を使うようになりました。RAWデータのままでパノラマ化ができ、他の写真と同じように取り扱えるからです。




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