【5】茨城県水戸市 仏性寺
茨城県水戸市にある仏性寺です。
重要文化財に指定された茨城県の寺院の一つです。
入口の前にたつと、いきなり、仁王像との対面です。
入口手前から
かろうじて屋根の下ですが、吹きっさらしで、痛むのも道理です。
門をはいると、右手に鐘楼堂、正面は、イチョウの古木の後ろに、解体修理中の本堂です。
門をはいる
八角形の本堂は、東北地方太平洋沖地震で、建物全体が傾き、解体修理になりました。
2013年春に修理が終わるとされています。
公開された時にはまた撮影に来ようと思いますが、とりあえず、今日の姿を記録します。
鐘楼堂
平成九年に竣工した新しいものです。
ところで、鐘楼堂という言葉ですが、考えてみると字がだぶっている様に思えてきました。
「楼」は高い建物(二階建て以上)、「堂」も高い建物。
広辞苑(私が持っているのは第三版)を引くと、鐘楼と鐘撞(かねつき)堂があり、鐘楼堂はありません。
実際には、鐘楼堂と呼んでいるものは日本全国にたくさんあります。
本家の中国(語)ではどうなっているのでしょう。
鐘樓飯店というものがたくさん検索できます。タワーホテルでした。
そのほか、ヨーロッパ旅行記で寺院などの高い塔に対して鐘楼という言葉を使う例が多数見つかります。
しかし、鐘楼堂という言葉はなかなか見つかりません。
勝手に想像すると、「鐘楼」では仏教のイメージがないので、「堂」をつけて仏教らしさを強く出したのではないでしょうか。
あくまでも「お堂」の一つです、ということですね。
あくまでも勝手な想像です。
アップするとこんな感じで、オーソドックスを目指したのでしょうか。
鐘楼堂のアップ
もう少し本堂に近づくと、説明の石碑がありました。
本堂前の石碑
全国でも数少ない八角堂であると刻まれています。
起源は、円形に近づけるための形の様です。
日本の伝統的な建築は、柱で屋根の重量をささえる構造をとります。
円形にするには、柱をたくさん並べなくてはならず、厄介です。
そこで、柱を八本にとどめてできたのが八角堂というわけです。
【参考】文化財探訪クラブ 3 寺院建築 濱島正士監修 山川出版社 第一版 P.54
ちなみに、八角堂は八角円堂と呼ばれることもあり、××円堂と呼ばれるもものが八角形であったりします。
たとえば、興福寺の北円堂、南円堂はどちらも八角形です。
工事中なのを幸いに、地面を撮影しました。このような写真はなかなかとれません。
本堂の基礎部分
八角形の一部が見えています。
その内側に、柱を支える礎石の列があります。
一辺が4本の柱で構成されているようです。ただし両端の柱は、2辺で共有です。
その内側に大きな礎石があります。
礎石部分
これを見ると、礎石の中央に穴をあけ、そこに柱をはめ込んでいるようです。
いずれにしても、肝心の本堂を見なければどうにもなりません。
修理が完了したときには、再度写真を撮りに来ることにしましょう。
【感想】
門の手前に立っている二体の仁王像が印象的です。
仁王門があってその建物の中にいる、というのではありません。
開かれたお寺ということでしょうか。
帰りがけの仁王像
にらみつけて圧倒するのではなく、またいらっしゃい、とやさしくよびかけているような気がしました。