小品いろいろ
[2025/12/24]
【59】途中で決まり事が変化したという思い出(2)
正確には"思い出"ではないのですが、"思い出"と密接にかかわるものなので、前回の記事の続きにしました。
50年以上も昔の話ですが、就職してあることを教わりました。語末の長音記号の付け方に関することです。
「語末の長音記号を除いた部分が1音(おん)または2音の場合は語尾に長音記号を付け、3音以上の場合は語尾に長音記号を付ける。」
これが原則なのだそうです。ですから、カー(自動車)、ミラー(鏡)、カラー(色)などは長音記号が付き、モータ、コンピュータなどは語尾に長音記号は付けません。
この状況で約37年を過ごしてきたので、すっかりなじんでいます。
しかし、最近、「原則として、語尾の長音は常に付ける」という形に変わったというネットの記事を見かけました。
調べてみると、2019年のJISの改正で「3音以上の場合も語尾の長音記号を付ける」となったようです。
もともと、JIS Z 8301において、「3音以上の場合は語尾の長音記号を省略する」という規定を取り入れたものが、2019年のJIS Z 8301の改定で、この規定が削除されたというものです。
法被(はっぴ)、特に祭用の法被が、海外からの観光客の日本土産として人気が高いという記事を見つけました。
着やすくて、柄も派手で好まれるほか、発音が"happy"に通じるということもあるようです。
そこでこの"happy"ですが、カナ書きでは"ハッピー"が普通です。
上に書いた語尾の長音記号ですが、以前の3音以上は語尾の長音記号は省略する、ということに従えば、"ハッピ"になり、新しい基準では"ハッピー"になります。
英語の発音記号では"hæpi"です。アクセントは省略しました。
カナ書きするなら"ハピ"、あるいは"ハピー"というところでしょう。
"æ"の音(おん)はちょっと長めに発音するようです。口を大きめにに開くので、長めになるのでしょう。それを考えると、"ハァピ"、あるいは"ハァピー"の方がより英語に近いのかもしれません。ですが、いずれにしても日本語なので、そこまでこだわっても仕方がないでしょう。
誕生日の歌としてよく歌われる歌に、"happy birthday to you"があります。あの歌の最初の部分は、日本語の環境では"ハピバースデー トゥー ユー"と歌われるのがほとんどではないでしょうか。
一方、"A Happy New Year"は、"ア ハッピー ニューイヤー"のような発音になります。
"ハッピー"というように促音"ッ"が挿入されるのは、破裂音であるパピプペポの前ではよく起こります。
鉄板が"てつはん"ではなく"てっぱん"、出費が"しゅつひ"ではなく"しゅっぴ"、認否が"にんひ"ではなく"にんぴ"などたくさんあります。
破裂音であるタ行の音の前でも同様で、切手(きって)、血糖(けっとう)、勝手(かって)など、促音が挿入されます。
破裂音ではない、例えばハ行音の場合、朝日(あさひ)、入日(いりひ)、可否(かひ)など、促音は挿入されません。
じつは、ここからが本題です。
"happy"の発音をネット上の英語辞書のサイトで聞くことができます。
"hæpi"ですから、日本語で書くなら、"はぴ"に近いはずですが、ちょっと違うのです。
私の感じ方では、"hæpii"のように聞こえるのです。"はぴぃ"のような感じです。
"はぴい"のようにまでは、最後の"い"は強くはないのですが、ちょっと最後になにかあるのです。
あるいは、"hæpi"の最後の"i"が、日本語の"い"よりも強いのかもしれません。(*1)
この「"i"が、日本語の"い"よりも強いのかもしれ」ないという問題に関して、最近感じた事があります。
この曲は、大橋純子さんの代表的な曲で、私が彼女が歌った歌の中で一番好きな曲です。
最近(2023年11月)亡くなられました。残念です。
全体は二番までの歌詞があり、そのあとに、二行の繰り返しが付きます。
一番の歌詞の終わりは、「Oh, Beautiful Me! Oh, Beautiful City! 生まれてきて よかった」、二番の歌詞の終わりは、「Oh, Beautiful Me! Oh, Beautiful City! 胸があつくにじむわ」です。
この後に、「Oh, Beautiful Me! Oh, Beautiful City! 今はじまる人生」という言葉が続きます。
実際に歌を聴くと、二番の歌詞の終わりは、「Oh, Beautiful Night! Oh, Beautiful City! 胸があつくにじむわ」です。歌詞を検索すると、"Me"なのが、歌唱では"Night"に変わっているのです。
実は、この歌詞の不一致を問題にしようとしているのではありません。
"Night"の部分の発音が気になるのです。
発音は"nait"のようになるはずで、"ai"は二重母音ですから、"a"のあとに"i"を添える、という感じになるのではないでしょうか。
でも、大橋純子さんの歌唱は、私が今までしてきた発音とちょっと違うのです。
そしてそれは、私が仕事の中でかかわってきた米人の発音に、より近いような気がするのです。だから気になるのです。
私は60歳で定年退職して15年も過ぎてしまっていますが、退職直前の約15年は、米国の企業を顧客とする仕事に従事してきました。会議などの相手は、最終顧客の米国企業の技術者と、わが社の現地法人の技術者です。その中で、英語の発音について、いくつか気になることがあり、その一つが「二重母音のai」でした。彼らの英語をマネしようとしましたが、最後までうまくできませんでした。
大橋純子さんが歌う"Beautiful Night"のところの"Night"に出てくる"ai"という発音、これなんです。このような発音をしたかったのです。
なお、歌唱では "na:i::t" のように長く伸ばされています。それは音符の関係なので、それを短くした時にどうなるか、ということで考えています。
今回、あらためていくつかの辞書サイトで発音を聞いてみました。
「"ai"は二重母音ですから、"a"のあとに"i"を添える、という感じ」と上に書いたのですが、どうも「"a"のあとに"i"を添える」のではなく、「"a"のあとに"i"を続ける」というものに近いのではないか、と感じました。
逆の見方をするなら、私は、「"a"のあとに"i"を "軽く" 添える」という感じで、いうならば、"ai"と"a:"の中間くらいの発音をしていたようです。"a"のあとの"i"をもっとしっかりと発音すべきだったようです。
同様に、例えば"make"については、私は"meik"の発音で"i"が弱すぎて、"me:k"に近い発音をしていたような気がします。
英語の発音に関してただの素人の私が言うことですから"あて"にはなりませんが、"ai", "ei"の場合に、二番目の母音である"i"をしっかり目に発音した方が、私の発音に関しては、多少なりとも改善にはなるような気がしてきました。
もう英語で会話することはなくなりましたが、このことはいつも意識しています。
(*1) ずっと昔に読んだ本の中で、次のようなことが書かれていたことを覚えています。
英語の母音の発音は、日本語の母音の発音よりもずっと緊張した音(おん)である。英語の母音の中で一番緊張しない音(おん)である "ə" でさえ、日本語のどの母音より緊張している。
"ə" は、about"とか"aloud"などの単語の語頭の音(おん)です。
つまり、英語の母音の発音では、日本人は、意図的に"はっきり目"に発音すべき、ということなのだと思われます。