小品いろいろ


[2018/7/6]

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【18】カツカレー3題

立ち食いのカツカレー

40年か50年か前のむかしの思い出です。

市内の大手食品スーパーの入り口付近に、2軒の立ち食い店がありました。

1軒はそば・うどんの店。もう1軒はカツカレーのみの店。

このカツカレーはよく食べましたね。

ご飯はジャーに保温されていて、カレールー(カレーの汁ですね)も暖かくなってスタンパイ。

注文すると、プラスチックのコップに水を注ぎ、スプーンを入れて目の前に置かれます。

すでに衣がつけられているとんかつ(この段階では豚肉ですが)を油の中に入れて数分。

揚がると、まな板の上に取り出して包丁の背に左手の手のひらを押し当ててトントントントンとトンカツを切り分けます。

楕円形のステンレス製の皿にご飯をのせ、切ったトンカツを並べ、カレーをお玉ですくい、トンカツの上にかけ、福神漬けをつまみ入れてできあがり。

料金500円は前払いだったか、後払いだったかは憶えていません。

今で言うと、牛丼を食べるという感じですかね。確かにファーストフードでした。立ち食いですからね。

社員食堂のカツカレー

これも昔の思い出話です。いまから30年くらい前ですね。

一時、グループ会社に毎日のように出かけていたときがありました。

午前のうちに移動して、夕方戻ります。

昼食は行った先の社員食堂で食べます。

まあ、田舎の会社の社員食堂ですから、それほど凝った物は出てきません。

その中で、カツカレーにこだわった時期がありました。

偶然食べたカツカレーが飛びきりにうまかったのです。

その後、いろいろ研究して、うまいカツカレーを食べるには難しい条件をクリアーしなければいけないことが分ってきました。

食堂に毎日のように通って、どのようにカツカレーが出てくるのかを観察したのです。

まず、カツカレーは、昼休みが始まる12時前にご飯をカレー皿によそり、切ったトンカツを載せて重ねて用意してあります。

カツカレーをオーダーすると、カツカレーの一皿を取り出し、温かいカレーをかけて差し出されます。この時点でご飯とトンカツは冷めています。

それではどういうときに温かいカツカレーが出てくるか。

12時前に用意した分がなくなると、急遽トンカツを揚げます。(待ち時間は発生します。)

ご飯はジャーから温かいご飯が盛り付けられます。

つまり、最初に用意された分がなくならないと、できたてのおいしいカツカレーが食べられません。

これは、実際にはなかなか難しい。

とにかく、昼休みの早い時間では冷めたものが出てきます。それでは、遅く行けば追加でトンカツを揚げてもらえるかというと、そうではないのです。

「カツカレーは売り切れです」、と言われてしまうことが多いのです。

カツカレーがどんどん売れていると、追加で揚げてもらえますが、売れ行きが芳しくないと、「この後カツカレーはそれほどは出ないだろう」と食堂の人が思って「売り切れ」という扱いになります。

自分の前でちょうどカツカレーがなくなっていて、これはいけそう、などと期待していると、隠れたところからカツカレーの皿が3枚くらい出てきて、冷え切ったものが出てきたりします。

食堂にいくのが早いとダメ、遅いとダメ、良い時間に行ったときであって、それまでのカツカレーの売れ行きが特に良い、という条件でないとおいしいカツカレーは食べられません。

自分で作ったカツカレー

これまた昔の事です。20年くらい前になるでしょうか。いつか、という点では記憶はあやふやです。

あるとき、自分で思いのままのカツカレーを作ってみようと思い立ちました。

カレーライスを作る、ということに馴れてきて、好みのカレーが作れるようになってきた頃です。

肉はカレー用の豚の肩ロースの角切りと三枚肉の薄切りを合わせます。

野菜は定番のタマネギ、ジャガイモ、にんじん。ニンニクを少々。

肉と野菜を丁寧に炒めてじっくりと煮込みます。

カレールーは、3種のブレンド(フォンドボー中辛、ジャワカレー中辛、バーモントカレー甘口をおおむね3:3:1)。

できたら一旦冷まして(数時間かかる)、再度温め、ガラムマサラを入れて完成。

トンカツは残念ながら自分で作るのは面倒なので、スーバーから特に肉厚のものを購入し、オーブントースターで温める。

だいたいは思った通りにできたので、期待して食べてみると、これがたいしたことがないのでした。

どうして?これなら、単にカレーライスとして食べるか、トンカツとして食べた方がおいしそう。

いままで食べたいろいろなカツカレーを思い出してみて合点がいきました。

カツカレーのトンカツはそれほど立派なものは要らない。またカレーはあっさり目のほうがよいのです。

カレー単独でおいしい+トンカツ単独でおいしい=2倍おいしい、とはならないのですね。互いに"おいしさ"を殺し合ってしまうのです。。

それで最近は、トンカツが立派なときはレトルトカレーをかけたり、おいしいカレーができたときには小さめのチキンカツを添える、などということに落ち着いています。

でも、単独でおいしくできたときには、そのままで食べるのが一番ですね。

良くできたカレーと、良くできたカツカレーを比べたら、良くできたカレーの方がだんぜん優っています。

良くできたものなら、さらに追加すべきものはないということですね。

追記

このようなどうでもいい個人的な思い出話を記事にしてアップしようとするのは、それだけ年をとったということでしょうか。



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