小品いろいろ
[2024/3/27]
【51】算数の難しい問題から思いを馳せる
Youtubeを見ていると、算数の難しい問題についての解き方を解説した記事がいろいろとあることに気づきます。
正直なところ、わたしはほとんどが解けません。
解き方の解説を見れば、「ああ、なるほど」と思います。
なかには、「いやいや、別のもっと簡単な解き方があるよ」とか、「それはいつもそうしているよ」などと思うものもありますが、ごくわずかです。
とくに、与えられた情報がわずかで、それを元に、図形であればうまく補助線を引く、などをして解いていくものもあり、感心させられます。
でも、このような問題に関して、何か引っかかるものがあるのです。
最小限の情報から推論を続けて、求める解を得る、ということは、数学的な思考のトレーニングとしてはとても素晴らしいものだと思います。
でも、現実の状況からはちょっとずれている、という感じがしてしまうのです。
たとえば、会社や役所勤めをしている人々、研究や教育に携わっている人々、ビジネスの世界で生きている人々について考えると、「最小限の情報からある結論を導き出す」ということは、現実の問題としてはほとんど起こらないのです。
なぜか。いろいろな要因があります。
最小限の情報といいますが、それらはほとんどの場合、誤差を含んだり、何かの方法による推測値であったり、あるいは逆に、沢山の情報から自らの判断で取捨選択しなければならない、というように、単純ではないのです。
それともう一つ、たいていは自分の判断を上司や仲間などに説明しなければいけないことが多いのですが、その場合、自分の推論をわかりやすく説明して、納得を得たいという場合があるのです。
では前提条件がぼやけているとき、どうすれば良いのでしょうか。
一つの方法は、条件を多数並べて、多数決とか平均値を用いる、とかの方法をとります。
別の場合は、多数の条件から選別して一組のデータを創り、それから一つの結論を得ます。選別をやり直して、また結論を出します。これを複数回行い、結果を考察するのです。
そうして、全ての結果が一致すれば採用する、とか、あるいは最悪の結果を採用する、とか、いろいろなケースがあります。
そのところが人間の知恵というものです。
また、上司などに説明する、という場合、短時間で納得をもらう必要があります。
複雑な推論を長々と続けると、聞いてもらえなくなるときもあります。
また、わかりやすさも重要です。
厳密な証明をしても、「なんかピンとこないね」で終わってしまうこともあります。
場合によっては、厳密な証明よりも、例証のほうが効果的な場合があります。
繰り返しますが、最初に上げたような問題を解くことは、推論やひらめきを使って結論を求める、ということについて、トレーニングとしては優れたものだと思います。
しかし、現実はちょっと違うことが多いのです。
このシリーズのNo.11の記事で、「0.999…という無限小数の行きつくところ」ということを考えました。
「0.999・・・・=1」について、確かにそうだ、と結論を書いたのですが、私としては、100%納得したのか、完全に腑に落ちたのか、ということではないのです。
「疑う余地はない」のですが、なにか落ち着きません
そこで、次のようなことを考えました。
1/3=3/9=0.3333・・・・ 2/3=6/9=0.6666・・・・
これから考えると、次の様になります。
3/3=9/9=0.9999・・・・
9/9=1 という事は疑いようがないので、やはり 1=0.9999・・・・は正しい。
このバリエーションもすぐに思いつきます。
1/9=0.1111・・・・ 2/9=0.2222・・・・ 3/9=0.3333・・・・
こうなると、次は疑う余地はありません。
9/9=0.9999・・・・
確かに、1=0.9999・・・・ です。
証明ではないのですが、説明にはなっています。
この件は、いろいろいろいろとな説明があり、上のようなことも誰かが書いているでしょう。
このように、いくつかの方法で説明して、結果が一致していれば、次第に納得していくのだろうと思います。
算数の問題のことを考えているうちに思い当たりましたので、ここに書いておくことにしました。