NICU(新生児集中治療室)という言葉から英語の発音のトピック


[2022/10/24]

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【48】NICU(新生児集中治療室)という言葉から英語の発音のトピック

NICU(新生児集中治療室)

テレビを見ていたとき、NICUということばが出てきました。

生まれたばかりの赤ちゃんの病気の話なので、ICUが集中治療室ですから、Nは新生児という事なのだろうと推測はできます。

ネットでNICUを検索すると、neonatal intensive cure unit と分かりました。

neonatal が新生児ということなのでしょう。この単語をまたまた検索すると、当然、思った通りのことばが出てきました。"powered by Google 翻訳"と言う表記が添えられていましたので、googleの翻訳サイトなのでしょう。

ですが、そこに添えられていた発音記号に驚きました。

nēōˈnādl

ē,ō はそれぞれ、i, o の長音と思われます。ā は二重母音の"ei"で、ˈ はその次にアクセントがあるということでしょう。

問題は d です。

英会話では、つまり英語の口語では、ある場合に t が d のように発音される、ということは知っていました。しかしそれは、言うならば、"口語訛り"とでもいうもので、"音"としてはそうなるが、文字として書かれたものを見たのはこれがは初めてのことだったのです。

カタカナであらわすなら、"ニーオーネイドル"と書けば感じが伝わるかな、と思われます。

d のところは、ド と書くか、ドゥ と書くか悩ましいのですが、どちらも英語の音とはかけはなれているので、ここでは簡単に ド としました。

そこで、似たような単語を試してみました。battle, cattle, littleなど。最後の tl の所の発音はどれも dl になっています。

このサイトでは音声を聞くことができます。試してみると、たしかに dl です。

また、 metal (金属)の場合は、t が d と発音されるなら、medal と同じになってしまいます。調べてみたら、 metal medal の発音は同じ ˈmedl でした。たしかに、メダルは金メダル、銀メダル、銅メダルというように金属(metal)でできていますね。

ネットには辞書のサイトがいろいろとあります。発音についてそちらを当たってみると、 dl はなく、tl てす。

正統的な発音としては tl なのでしょう。私が"口語訛り"と表現するのは、このような事があってのことです。

これは想像ですが、アメリカとかの学校の教室で教師が生徒に発音を教えるというような場面では、tl と教えるのでしょう。

もう一つの口語訛り internet イナネット

もう一つの口語訛りとでも言うべきものに、発音上の t の省略があります。ちなみに、私が知っているのはこの二つです。

それに気づいたのは Steve Jobs の講演の音声を英語学習の参考用に編集したものを音声で聞いたときのことです。

internet と言う言葉が何度も出てくるのですが、それが イナネット としか聞こえないのです。

何度も繰り返して聞き、さらに再生スピードを下げて聞いても インターネット とは聞こえません。

イナネット と聞こえるので、これでは「伊那ネット」、つまり、長野県伊那地方のネットサービスかのように聞こえてしまいます。

その経験からだいぶ後になって、英会話のラジオ放送だったか、ちょっと定かではありませんが、ある場合に t の音が省略されるということを知ったのです。

そのことを思い出したので、internet とか international をネット検索すると、最初にGoogle 翻訳の内容が出てきて、ˈin(t)ərˌnet , ˌin(t)ərˈnaSH(ə)n(ə)l というように表示されます。

そもそも、英単語を google chrome や Yahoo! で検索すると、"Google 翻訳" のサイトが最初に検索結果として出てくるようです。

そこに出てきた(t) という表記を見ると、場合によって t の音が発音されたり、また省略されたりする、ということと思われます。

それに比べると、最初の例の battle, cattle のような単語の場合、dl であり、tl という発音はほとんどない、ということなのでしょう。

「milk ミウク」の衝撃

随分昔のことですが、会社勤めをしていたときに、社内教育の一つとして英会話についての講演会が開かれました。

講師は米国の大企業で長く要職を務めた方で、日本に戻って英語会話について教育活動をしていると聞きました。

そこで語られた中に、L(エル)の発音に関する事が取り上げられました。いわく、L(エル)の発音は日本人には不可能である、ということでした。

よく、日本人には、RとLの区別するのがむずかしい、と言われますが、単純に L が発音できない、ということがあるのです。

そのときにひとつのエピソードが紹介されました。

講師の友人が米国に行き、娘へのアメリカ土産に人形を買おうとデパートに行き、「doll shop はどこか」と聞くと、全く通じない。講師に「いったいどうなっているんだ」というので、「L(エル)の発音は日本人には無理だよ。ウと言った方が通じる。つまり doll shop は、"ダルショップ"ではなく"ダウショップ"といったほうがいい」と教えた。次の日、その人が訪ねてきて、"ダウショップ"と言ったら通じた。

この話を聞いて、私は、そうだとしたら milk はミルクではなくミウクなのか、と思いました。

そのことが気になり、書店で中学生用の英和辞典を立ち読みして、milk の発音をどう書いてているのか、を調べたのです。英語を習い出す中学生向けの英語の辞書には、発音を発音記号とともにカタカナで併記してあることが多いのです。

どれも milk の発音はミルクでした。

何年も後になって、とうとう milk に対して ミウク と表記されている辞書をみつけ、「とうとうこうなったか、時代が進んだな」と感じたのです。


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