Los Indios Tabajaras トップ 10


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● 音楽

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タバハラスの演奏のトップ10を選んで見ようと思い立ちました。

評価としては、曲が良くて演奏がいい、というものです。単によく知られている物は入れません。つまり、"良い曲"を"一生懸命、または丁寧"に演奏している、ということです。

たとえば、マリア・エレーナはたいへんヒットしましたが、演奏としては楽過ぎて魅力を感じません。この曲を聞いて、タバハラスとはこういう演奏家だと思われたら、とても悲しいです。

私のトップ10

  1. 熊蜂は飛ぶ(リムスキー・コルサコフ)
  2. 前奏曲とフーガ・第6番(バッハ)
  3. 嬰ハ短調のワルツ(ショパン)
  4. 幻想即興曲(ショパン)
  5. Prelude (from Partita No.3) (J. S. Bach)
  6. La Ronde des Lutins (Antonio Bazzani)
  7. 子犬のワルツ(ショパン)
  8. ツィゴイネルワイゼン(サラサーテ)
  9. 前奏曲・第9番(バッハ)
  10. Hora Staccato (Dinicu-Heifetz)

出典は以下です。なお、表記はLPレコードのジャケットに合せました。
1,2,3,4,7,8,9 豪華盤 タバハラス・クラシック・ギター大全集 [ビクター SRA-9179-80 (1972.11.23)]
5 Los Indios Tabajaras Masterpieces [RCA AFL1-2526 STEREO(1978)]
6,10 THE CLASSICAL GUITAR OF LOS INDIOS TABAJARAS [RCA CPL1-0668 STEREO (1974)]

バッハが3曲、ショパンが3曲と集中しています。鍵盤楽器の曲を2本のギターで演奏する、というスタイルが一番合うということでしょう。

「熊蜂は飛ぶ」を一番にしていますが、私の中ではこれは不動です。1分16秒の短い曲で、聞くたびに息をつめて、終わってふうっ、と息をするということになります。この演奏はYoutubeで見ることができますし、私はずっと昔にテレビで見たことがあります。上で「一生懸命」と書きましたが、二人の表情を見ると、「必死」という様な演奏ではなく、余裕の笑顔を見せています。昔テレビで見たとき、この難局を余裕で引いているのを見て驚いたものでした。あの表情は演技ではないかと思います。内心ではかなり緊張しているのでは。すくなくともスタジオ録音ではそうでしょう。生の演奏ではもっとリラックスしています。というのはミスタッチやテンポが乱れることがよく聞かれますから、多少のミスはあってもいいや、と腹をくくっていると感じられるからです。

「熊蜂は飛ぶ」はテンポの速い難曲として有名で、Youtubeにもいろいろな演奏がアップされています。ギターで演奏しているものも相当の数があり、このタバハラスの演奏より速くて音も整っているものがあります。しかしながら、それらは音が出ているだけで、音楽になっていない、曲芸の類のように感じられて仕方がありません。私は音楽を聞きたいのであって、曲芸とか記録狙いの様なものには興味がないのです。

2番目の前奏曲とフーガ・第6番は、平均律の第二巻の曲です。ピアノによる演奏より繊細です。何よりも、このテンポでギターを弾けるのか、と驚きます。平均律の全曲をタバハラスの演奏で聞きたい、とまで思います。

嬰ハ短調のワルツは、このタバハラスの演奏を聞いてピアノ曲を聞くようになったきっかけの曲です。また、むかし、この曲をデータ入力して当時のパソコン通信にUPしたことも思い出の一つです。Super Studio SessionというMacintoshのアプリのデータ形式なのでダウンロードはとても少なかったことと、数年たってからメールが来て、この曲の再生方法は、と聞かれ、Super Studio Session専用形式です、と回答したことなど、懐かしいですね。タバハラスのロマンチックで悲しみを秘めた演奏が最高です。ショパンのワルツとしてはこの曲は評価が低いようですが、私は一番好きです。

幻想即興曲は、その出だしの重い音が印象的です。以前のことですが、米国のAmazonだったと思うのですが、あるファンがこの演奏について、「この二人はすごい、全ての音符を二つのギターでもれなく弾いているんだ」という様な事をコメントとして書きこんでいたのを読みました。

5番目は「無伴奏ヴァイオリンのための」といわれるように、原曲はバイオリン・ソロとしてよく弾かれます。ということはギター2本用に相当アレンジが入っているのでしょうか。あるいは鍵盤楽器用の標準的な編曲があるのでしょうか。バイオリン・ソロで聞くのとは大分趣が違いますが、みごとにこなれた演奏になっていますね。

6番目もバイオリンで弾かれることが多いようですが、ギターだと趣がかわります。今回のトップ10では2番目に演奏時間が長い6分50秒ですが、安定した演奏に感動します。中盤で音の乱れがでていますが、全体に演奏技巧の見本のようです。

7番目は有名な小犬のワルツ。小学生でも弾きますね。この曲を入れたのは演奏の乱れが最も少ないから。このような厳格な気持ちで他の曲も弾いてくれたらよかったのに、というのはないものねだりです。

次はツィゴイネルワイゼン。タバハラスがこの曲を演奏したレコードを長い間探してしましたが見つからず、録音していないのかも、と思っていました。あるとき、Yahooオークションで2枚組のLPを見つけました。そこには"ツィゴイネルワイゼン"の文字が。絶対にゲットするぞ、との意気込みでめでたく入手できました。なぜこの位置なのか、というと、私の期待が大きすぎたということでしょうね。もう少しいい演奏ができたのでは、という気がしてなりません。それにしても、海外のオークション(ebayですが)でいろいろな盤をチェックしましたが、この曲は見つかりませんでした。どのような経緯で録音されたのでしょうか。

9番目は、これも平均律の第二巻の曲です。いいですねえ。音がそろっていて聞いていて気持ちがいい。タバハラスの演奏の全ての特徴として、音がよく伸びることが謂われますが、もうひとつは弦を指がこする音がとても少ないことが言えると思います。やはりタバハラスで平均律を全曲聴きたいと思ってしまいますね。

最後にHora Staccato。ひとことでいうと"ゴキゲンな"演奏。もちろん曲自体がそうですけれど。昔、子供の運動会でこの曲が流れていました。気分を盛り上げるのに最適ですね。スタッカートのところは弦を抑えつけずに触れるだけにして弾いているのでしょうか。独立した音なら左指で弦を抑えて右手で弦をはじき左指をちょっと浮かす、という弾き方でスタッカートになりますが、スタッカートの音が続くときには指を上げ下げする余裕はありません。弦に触れるだけの弾き方になるのですかね。その場合、通常はフレットのすこしネック寄りの位置を抑えるのに対し、スタッカートではフレットの真上を触れる必要があります。抑える位置がすこしずれるのですが、左指の位置をずらすことが精度よくできるものなのでしょうか。もっともハーモニクスというものはフレットの真上を触れることになるので、これと同じかも。ハーモニクスは6番目に挙げたLa Ronde des Lutinsで中ごろから頻繁に出てきます。


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