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● 音楽

植木等

日本一の無責任大作戦 クレージーキャッツ (東芝EMI TOCT-26009・10)

植木等(クレージーキャッツ)

植木等はこどものころからずっと見てきた。

クレージー・キャッツはミュージシャンとしても実力者ぞろいであるが、一生懸命にバカをやる、というのは初めてではないだろうか。

時代が「モーレツ」なので、何事にも一生懸命なのだ。

以前、テレビのインタビューでご本人が言っていたことが印象に残っている。

「無責任男」の企画が出てきたときに、まず、そんなのはイヤだ、と思った。そもそも無責任とは人の道から外れている、と。

ところが周囲で話がどんどん進んでいくので、ある時、実家の父親(僧侶である)に相談した。

すると思いもかけずに、こう言われた。

「それは、お前に与えられたものだ。それなら、その与えられたことをやるのは仏の道にかなっている」。

植木さんはその時に「そんなものかね」と思ったが、とりあえずやることに決めて、以後はその道をまっしぐらである。

与えられたことをそのままやる、という考えが、仏の道にどのようにかなうことなのかよくわからないが、ヒンズー教の経典「ヴァガバット・ギーター」の一節にある「なすべきことをなせ」という言葉と響きあうような気がするのだ。

植木さんのインタビューのテレビ放送と、私が「ヴァガバット・ギーター」を読んだのとどちらか先だったのか思いだせないが、「なすべきこと」とは何なのかがいまだにわからない自分にとって、何かの手がかりになるかも知れない。

これに関して、山口百恵さんにも思いを馳せる。

今になって、百恵さんのCDを聴くと、ずいぶんひどい曲を歌わされていたんだなあ、と思うことがある。

それを拒否せずに歌っていた。

ただしそれだけではなく、楽曲の提供者として、阿木耀子・宇崎竜堂のコンビを選択し、周りの反対を押し切って成功したこと、21歳の売れている時に引退したこと、など、なかなか一筋縄ではいかない生き方である。

クレージーキャッツの後に続くのはドリフターズかな。

このメンバーも多士済々である。

志村けんは荒井注の後任としてメンバーに加わったと思うが、いま一つ好きになれなかった。何をやってもうまいのだが、いつも緊張していて、"抜けた"ところがないと思う。

ある時、「ウンジャラゲ」という歌を歌ってヒットしていて、このときはいいかなと思っていたが、後でこれは最初に植木等が歌った曲と分かった。思いが覚めた感があり、改めて植木等のすごさを感じた。

植木等を取り上げて青島幸男について触れないのは気がとがめる。

植木等のレールを引いたのは青島幸男である。この人もスゴイ人でしたね。

いつか、歴史上の巨人について考えてみたいとおもっている。

日本人のスケールをはるかに抜きん出ている、という点では、私は、織田信長と植木等を挙げる。

3人目はまだ決めかねている。

候補は、持統天皇、葛飾北斎、そして一人に絞るのは難しい中古文学の女流作家。と言ってもトップスリーは動かない。随筆の清少納言、小説の紫式部、和歌(詩)の和泉式部。

「この時代」で、かつ「女流」、という限定をすれば、世界の水準をはるかに抜いていた。「この時代」という限定を外しても、少なくともNo.1の有力候補の一人であるのは確かである。

何をエラそうに、と思われるかもしれないが、誰でもエラそうなことを表現してよい時代になったのだと思う。そういう時代に生まれたのだから、ありがたくその恩恵にあずかろう。


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