日本語のあれこれ日記【10】

原始日本語の手がかりを探る[1]―始めに

[2017/6/27]


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始めに

オリジナルな日本語とはどんなものだったのだろうか。

この疑問がこのシリーズを始めたきっかけです。

このような大きな問題に専門家でもない素人が口を出す余地はないのです。それは分かっています。

でも、ちょっとやってみたい。

そこでタイトルは「原始日本語を探る」ではなく、控えめに「原始日本語の手がかりを探る」としました。

このサイトのどこかで書きましたが、私の立場は、大学の文学部国文科の1年生か2年生というようなところです。興味の赴くままに自分なりのアプローチの仕方でできるところまでやってみる、というのが本当のところです。

今回のおおよその進め方は次のようなものです。

(1)古今集をスタートにする

万葉集の方が古いのですが、読みが安定していません。読みに幾通りもの候補が存在します。どれが正しいのか判定が難しいのです。一つの方法として、1音1文字で書かれた歌群があるので、それだけを対象にする、という方法も可能ですが、そうなると、万葉集全体における傾向を考える時に差し支えが出ます。

ただし、万葉仮名を抜きには考えられないので、仮名の特性を考える時には参照します。

古事記、日本書紀も漢文で書かれていると言ってよく、つまり外国語で書かれた文章ですから、参考にするには難があります。

古今集であれば、伝本間の違いは少なく、またその評価はおおむね固定しているように感じます。(確かにいくつかの例外はあります。)

(2)発音を突き詰めることはしない。

発音の問題は私には荷が重すぎます。それよりは書かれた文字を基準にして行きたい。ただし、ある程度は考慮します。例えば、ヤ行のイとエ、ワ行のウは、原始日本語には独立した音が存在した、と仮定します。この3文字は文字が残っていないので、Yi, Ye,Wuと書き表すことにします。

(3)漢語は除外する

原始日本語と言うときには、文字が導入される前の日本語の姿を思い浮かべています。そこで漢語は除外します。

ただし区別は難しい場合があります。なじみの深い梅、馬は語源としては漢語(もっとも呉音ですが)であるという説があります。有力な説なのかどうかは分かりません。さらには「雨が降りそうな天気」という時の「そう」や「○○の様だ」の「よう」は字音(従って漢字)に起源がある、という説(広辞苑、新潮国語辞典―現代語・古語―、旺文社全訳古語辞典など)があります。そのような場合はケースバイケースで処理していこうと思います。

まずは五十音図

大前提の五十音図です。次のような物を想定してます。

φ
K
S
T
N
H
M
Y Yi Ye
R
W Wu
G
Z
D
B

備考:ぢの発音はディ、づの発音はドゥを想定しています。

半濁音(ぱぴぷぺぽ)は万葉仮名にでてこないことから、原始日本語には存在していなかったと思われるので含めません。また「ん」は「む」から変化したものなのでこれも含めません。



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