小品いろいろ
[2026/5/3]
【62】組織との関わり方に関する一考察
ここでは、組織とは人の周囲との人間関係、とりわけ周囲の多数の人々との人間関係について考えてみました。
多数と断ったのは、家庭内とか友人との関係は取り除いて考えようとしています。
周囲の人々、あるいはそのような人々が作っている組織について、どのように対処するか、というときに、五つのパターンに分類するのが良さそうに思えます。
表1 五つのクラス分け
| No | 分類名 | 内容 |
| 1 | 積極的関与 | 組織の活動に積極的に関与する |
| 2 | 消極的関与 | 組織の活動に消極的に関与する |
| 2 | 消極的批判 | 組織の活動を消極的に批判する |
| 4 | 積極的批判 | 組織の活動を積極的に批判する(攻撃する) |
| 5 | 無関与 | 組織の活動に対して距離を置く |
自分が所属する組織に対して、問題意識がない場合、何も考える必要はありません。
「この組織は問題だ」、と感じた時がまさに"問題"なわけで、ここではそのような場合について考えることにします。
No.1の場合は、組織として問題がある、と思っていても、それに積極的に関与しようとするものです。
問題だ、と言っても、いろいろな条件からやむを得ない、という場合があります。
国家が戦争状態に突入してしまったら、国内の組織はその大きな流れの中で活動しなければなりません。やりたいことができず、やりたくないことが強制されることになるでしょう。まともに逆らったら、生命に危険が迫ることになりかねません。
戦争とまではいかなくても、例えば企業間の競争が厳しくなることもあるでしょう。他社に対して有利な位置にいるためには相当の苦労が必要になります。他社との競争に負ければ、企業は倒産ということに結びつきます。
企業が強力な先行技術を持っていて競合他社を圧倒しているときでも、それをキープし、できればさらに差を広げようと考えます。現在は他社をリードしているとしても、いつ逆転されるかわかりませんから、常に安心はできないのです。
逆に他社にリードを許しているという場合、事態はもっと深刻です。できるだけ早くリードを縮め、追いつき追い越せ、という立場になります。
どうせ無理をしなければならないのであれば、「よーし、やってやるぞ」と、積極的に行動するという立場に立つのが、このNo.1の場合です。
No.2は、このような場合に、「確かに状況は理解するが、そうはいっても無理なものは無理だ」と考えます。
自社が、あるいは自分が置かれている状態を把握しています。無理をしなければいけない状況だとわかっているから、妥協せざるを得ないと考えます。それでも、積極的にというほど関与する気持ちにはならないというものです。
No.3は、この状況はおかしい、という認識が強くなります。自社が、あるいは自分が置かれている状況を考えても、「このやり方は納得できない」と考えます。
ですから、無理なことを要求されたら、「状況はわかっているから、やるけれども、これはおかしいですよね」と反論します。
このようなちょっとした反論は意味がないかというと、そうではありません。命令する側の人は、すなおに応じない、という程度でも負の力を感じるものです。
昔聞いた、小鳥の例が思い出されます。力の弱い小鳥は、大型の猛禽類に襲われることがあります。巣に侵入してきてひな鳥が殺されるような場合があるのです。力の差は歴然としていますから、親鳥はどうすることもできません。しかし、ある鳥は襲ってくる大型の鳥に対し、反撃を試みます。絶対的に力が劣っているので大した反撃ができるわけではありません。ひな鳥をくわえて飛び去って行く鳥を追って、声を出し、くちばしでつつくような動きをみせます。
反撃といっても大したことはできないのですが、襲う側からすると不快である、と感じます。被害があるのではないのですが、気分が悪いと感じるのです。
ですから、次回、攻撃するときには、できることならこのような鳥を襲うのは避けようとするのです。
鳥の習性ですから、力の弱い小鳥の実効性のない反撃の意図が何なのか、分かるわけではありませんが、意味があるとするならこういうことではないか、と考えられる、というだけです。
No.4は積極的に行動します。反論ができるときには常に反論します。なにかの選択の余地があるときには、妥協しないで、自らの信念に従って行動します。
無理な命令に従わないというのではないのです。反論とか選択とか自分の意思を通すことができるときには積極的に利用するのです。
No.5は、あきらめの境地とでもいうのでしょうか。
No.3、No.4のように反論する道は取りません。そうしたって、実質上なにも変わらないからです。
またNo.1、No.2のように、積極的であれ消極的であれ、流れに乗って行動するのではありません。流れるに任せるのです。
上層部から見て誰を高く評価するか、これははっきりしています。No.1です。No.1の人が最初に昇進します。もっとも業績を上げていますから当然です。
その次に評価されるのは誰でしょうか。私の経験では、No.2~No.5は同等です。私の経験からはそうなります。
上層部がもつイメージは次のようなものでしょう。
No.2…やる気がないやつだ。大きな仕事はまかせられない。
No.3…うるさいやつだ。黙ってやればいいのに。でもやるべきことはやっている。
No.4…組織にたてつくなら、面倒を見ないぞ。でも仕事に情熱を持っていることの裏返しかもしれない。
No.5…期待しないから、最低限の仕事をすればそれでいい。もくもくとやっていることは認めててやろう。
No.2~No.5の人も、たいていは最低限の仕事はするのです。それをしなかったら、どこかに飛ばされるようなことになってしまうでしょう。
期待されていないのですから、期待に応えよう、ということはありません。
No.1以外の人は、どのクラスでも組織の中での扱いは同じようなものです。だったら、自分が一番いいと思われるやり方を貫くのがいいのではないでしょうか。