【2】撮影道具2 使いやすいティルトアダプター


次のページに進む  前のページに戻る  記事一覧に戻る  ホームに戻る

[2015/1/19]

"使いやすい"ティルトアダプターを探す

ティルトアダプターは確かに効果があるが、最初に入手した物はあまりに使いにくい、という事をひとつ前の記事で書きました。

それから1年半が過ぎて、またティルト撮影が気になり、ネット上で有力な情報はないかと探していると、リングを回してティルト量を調節するタイプのものがあることが分かりました。ウクライナのARAXという会社から発売されているようです。そのサイトを訪問するとなるほどありますね。

35mmフルサイズのレンズとミラーレス一眼ボディという組み合わせに使えるものがいくつかありました。また35mmフルサイズのボディに使えるティルトアダプターもあります。写真から判断すると、ブローニーフィルム用の一眼レフのレンズを使う仕様のようです。さらにキャノンのボディ用だけですが、ティルト・シフト両方がサポートされたタイプも見つかりました。ただし、"◾Angle between tilt and shift: 90o"と書かれていますから、ひとつ前の記事で書いた"ティルトとシフトの方向が90o違っている"というきつい制約があるもののようです。

アダプターの写真をみると、0から8までの数字が刻まれたリングがあります。ティルト範囲は8oとなっていますから、このリングを回してティルトの角度を最大8oまで連続的に変えられそうで、これは使いやすい。

ただし、ウクライナの企業とメールのやり取りで購入するというのはちょっと面倒な気がします。ebayです。

ebayで簡単に買えた

ebayを見ると、ありました。メーカーははっきりしませんが中国のようです。

いくつか出品があります。値段もばらばら。以前にネットで見た記事では、粗悪品もあるようで、レンズが外れなくなったとか、キズが付くとか心配があり、とりあえず"そこそこ"の値段のものを注文しました。送料は無料と書いてありしまたが、しっかり取られました。記事を注意して読めば無料の所はここに限る、という記事があったのかもしれません。


しばらくして届きました。

ティルトアダプター

"Tilt&Shift"とはっきり書いてありますが、これは間違いです。一部で上下の傾きをティルト、左右に傾けるのをシフトと呼ぶことがあるということをなにかの記事で見ました。シフトとはレンズと撮像素子(昔ならフィルム)を平行にずらすもので、左右に傾けるのはスイングです。このアダプターではレンズ側を回転させることができるので、ティルトとスイングはできます。

「Nikon-NEX移軸接×」と書いてあります。「移軸」は「光軸をずらす」ということなんでしょうね。「軸」の車偏は簡体文字のため少し違っています。「接×」ですが、「×」の所は"王へんに不"で、IMEパッドに入力しても出てきませんし、漢和辞典でも見つかりません。中日辞典を引くと「環」の簡体文字でした。「接環」なら「接続リング」になります。「光軸をずらす接続リング」ですからドンぴしゃです。

試し撮り

試し撮りしたもののなかから、分かりやすいものを下に載せます。

庭の草が足もとから向こう側に生えているところを約2mの高さから300mmでとらえたものです。絞りはマニュアルでF8です。

上段の左側がカメラの液晶モニターで、ピントが合っている部分をハイライト表示するピーキング機能を使っています。画面の中央部だけにピントが合っていることが分かります。右側がマウント部で、レンズは"まっすぐに"つながっています。

下の段はティルトを利かせた状態で、このようにほぼ全面にピントが合っています。

モニター表示 マウント部
モニター表示2 マウント部2

カメラとレンズはこのようになります。

マウント部2

ティルトアダプターの所をアップしました。上のところにはレンズの絞り指標が見えています。下側がボディのマウント部分です。

マウント部2

ティルトすると視界がずれます

注意をひとつ。ティルトすると視界がずれます。

今回のようにレンズを固定してカメラを上に向けると、撮影範囲は上方向にずれます。したがって、撮影範囲を厳密にセットしたい時にはティルトした後にレンズを下向きに回転させる必要があります。ボディはレンズに固定されていますから、レンズとボディの全体を下に向けることになります。この操作はわずかな動きのために、雲台での調整は厄介です。もっとも、35mm換算で450mmのレンズをきちんと目標に向けるのは、ティルトなしの場合でも厄介ですが。

この微調整のために、今回はビクセンの微動雲台を使ってみましたが、なかなか良さそうです。しっかりホールドし、微動がスムーズです。この製品はメーカーの天体望遠鏡のWebカタログのずっと後のページ(P.56)に小さく出ているのを見つけましたが、探しにくいので、Amazonのページをリンクしました。

まとめ

まず、実用性ですが、これは最初のタイプと比べて大きな改善です。今まで1~2分かけて、かなりいらいらしながらティルト操作をしていたものが、10秒程度で簡単に終ってしまいます。これはすごい。

最初は「5秒程度で簡単に終って」と書いていましたが、上記の「視界がずれる」のを調整する事を考え、「10秒程度」と書き変えました。実際には大した違いはないですね。

レンズが外れない、などのトラブルは今のところありません。可動部の動きはスムーズで、問題ありません。

ティルトを調整するリングの表記は"とてもヘン"です。数字は1から8までで、しかも、8がティルトなし、1が最大のティルトになっていました。本来は0~8で、0はティルトなし、8が最大ティルトの8oではないのでしょうか。どうもわかりません。

いろいろネット上で記事をあさると、「新しい機器が出ると、中国からものまね品が出回る」という書き込みがありました。それを基に考えると、特許回避のためかどうか分かりませんが、"1から8"という表示にして、しかも8がティルトなし、1が最大ティルトというように変えたのかしら、と思えてきました。あくまでも想像ですが、理由として考え付いたのはこれだけでした。

いずれにしても、今回入手した物は、加工精度が十分に良いもので、使い勝手のよさと合せて、満足がいく品物でした。

具体的にどの製品か、ということはここでは書きません。これは、個体ばらつきがあれば同じ商品でも人によってがっかりするかもしれないこと、もう少し良いものがあるかもしれないと感じること、などの理由からです。

たとえば、日本のAmazonにも、これとよく似たティルトアダプターが出品されています。値段は私が今回入手したものの約半分ですが、評価は最低レベルでした。



[ページの先頭に戻る]