【1】きゅうりのひげ、大したもんだ
自宅の庭の片隅に、"猫のひたい"ほどの"畑"があります。
きゅうりの苗を植えて、ネットを張りました。
ネットを張るのは初めての経験です。
180*180(cm)のネットを買ってきて、適当に棒を渡して取りつけました。
きゅうりは順調に育ちました。
きゅうりは"ひげ"でネットに絡みついてきました。
そのとき気がついたのですが、その絡み方が大したものなんです。
まあ、見てやってください。
ひげの巻きつき方
単にネットの糸に巻きつくだけでなく、その手前側、つまり、茎に近い側に"スプリング"の様な形ができています。
このスプリングは簡単には作れません。
ひげがネットの糸に巻きつくには、ひげの先端が糸の周りでぐるぐると旋回するように動けばよく
これは簡単に想像できます。
スプリングの部分は?
糸に触れたところから手前側のひげが、ねじるように動かなくてはいけません。
さらに、単にねじるような動きだけでなく、ある程度の直径の円の形を作る必要があります。
このスプリングは、きゅうりの葉や茎が風に吹かれて動くときに伸び縮みして、応力が一か所に集中しないように作用します。
スプリングの部分がないと、風が吹いたときにまずいことがおこります。
糸に巻きついたところや、茎からひげが出ているところなど特定の位置に応力が集中するのです。
その結果、応力が集中したところが弱くなり、切れやすくなります。
きゅうりは応力を分散するという能力を、どうやって身につけたのでしょうか。
機械工学を理解しているかのようです。
もう少し巻きが進むと
このような感じです。
スプリングができるときのひげの動き方が、なんとなく想像できます。
ひげの伸び方
ちょっと分りにくいですが、ひげが3本、左右と上に伸びています。
左と右のひげは巻きつく相手が見つかっていますが、上に伸びたひげはまだ相手がいません。
このように、伸びて行く途中では、巻きつくような形は作らずに、なんとなくあちこちに曲がりながら伸びていくようです。
そして、何かに触れるとそこに巻きつくのでしょう。
残念
これもちょっと分りにくいのですが、ひげが二本の糸を束ねて巻きついてしまいました。
ネットの糸は、だらんと垂れ下がったたり、風が吹いてぴんと張ったりします。
糸をぴんと張ると、巻きついたところがほどけるか、と手で引っ張ったところ、ほどけません。
よく見ると、ひげには突起があり、それを糸に食いこませて巻きついているようです。
風が吹くと糸がぴんとはるので、巻きついたところをむりやりに引っ張ります。
これはまずいです。
ひげには視覚がありません。
触角だけです。
ひげが伸びて、糸が二本そろっているところに触れると、二本まとめて巻きつきます。
自然の習いです。
ただし、糸をかなり強く引っ張っても、ひげはなかなか切れませんでした。
ひげの部分は見た目以上に丈夫なのです。
茎は大量の水分を通す必要があるので、ある程度太くしなければならず、強度を保つのは難しい、
それで、重みを支えるには他の構造物にすがることにしよう、
それには、ひげを伸ばして巻きつくのがよい、
ひげは、茎、葉、実(これは特に重い)などの重みを支えるだけでよいので、細くて丈夫なのがよい。
実に理にかなっています。
残念 2
自分の茎から分岐した茎にできたきゅうりの実に巻きついた例。
ひげが伸びたところが伸び始めたばかりの実の部分だったという、運のなさです。
ネットに絡まないと、きゅうり全体を支える効果がありません。
もっとも、実がついた茎が、別のひげでネットにしっかりと結ばれていれば、それに頼るのもいいのかもしれません。