考えてみると=まじめ編=原発


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【21】東海原発の緊急時における日立市民の避難方法について (2014/8/14)

現状

日本政府、東京電力が安全と称した福島第一原発で、実際に事故が起こりました。

初めての大規模な放射能漏れ事故であり、大地震、大津波の直後であることも災いして、避難の準備ができてなく混乱の極みとなりました。

現在では、原発事故は起こりうるもの、という認識が広まってきていますが、避難方法は確立していません。

私が住む日立市については、市役所の回答は、「避難方法は確定していない、県としての態度が決まってから検討する」、というものでした。確かに、原発事故の場合、避難行動が日立市内でおさまるものではなく、周辺の市町村を含めて総合的に判断しなければならないので、当面はできない、ということでしょう。

では県はどのように考えているかというと、国の方針が定まらないから、具体的な避難方法については決められない、というものです。東海第二原発では、避難計画の対象者が30Km圏内で90万人を超え、計画が立てられない(事実上、避難は無理)というのが実情です。国はどうかというと、避難については県と市町村の問題である、としています。

こうして、国は知らない、県はどうしようもない、市町村は県の動きを待つ、ということで進展がありません。

避難方法を考える

こうなると、市民のひとりひとりが考えるほかに手がありません。

考えるポイントはいくつもあります。

(1) 放射能汚染の程度をどのように判断するか

(2) 風向をどのように知るか

(3) 避難手段はどうするか

(4) 道路状況をどのように知るか

(5) 混雑状況をどのように知るか

(1) 放射能汚染の程度をどのように判断するか

これは考えないことにしましょう。正確な情報が得られるかどうかははなはだあやしいし、情報がなくても自主的に判断して避難するほかに手がありません。ワーストケースを考えて行動する、ということにします。

(2) 風向をどのように知るか

これも深く追求する事はやめましょう。風向きは随時変わります。ある程度は予想することができても、予想が外れたからといって責任追及はできません。その時の天気予報などをもとに行動を開始し、つねに風向の予想をチェックしながら避難し続けることになるでしょう。

(3) 避難手段はどうするか

現在は、クルマしかないですね。パスを使うのが混雑を防ぐにはもちろんいいのですが、それで足りるはずがない。ピストン輸送の順番を待っているくらいなら、マイカーで避難することになってしまうでしょう。

(4) 道路状況をどのように知るか

事故が起こる原因は地震か、という事が大きな問題です。

日立市は山が海岸近くまで張り出しています。南には東海原発があり、東は太平洋ですから、避難ルートとしては海岸にそって狭い平坦地を北に逃げるか、西に山越えするか、の二つの選択肢になります。

原発事故が起こるということは、大地震が原因である可能性は高いと見なければなりません。そうなると山越えのルートは問題で、土砂崩れで通行止めになる可能性が高いです。

北に逃げる場合、常磐自動車道と国道6号線がありますが、大地震の場合は常磐自動車道は通行できなくなっている可能性も低くはありません。東日本大地震ではいったん通行止めになりましたが、関係者の事前対策と懸命な復旧作業のおかげで、短期間で復旧した事は記憶に新しいですが、原発事故では復旧作業ができない事態になることを考えなければなりません。

よって、国道6号線を使って北へ逃げる、というのが現実的と思われます。途中通行止めがある場合、地方道に迂回することも必要でしょう。私は東日本大地震のとき、橋に大きな段差ができて通行止めになり迂回したという体験をしています。

地震が起らなかった場合は、山越えのルートと常磐自動車道は期待できます。常磐自動車道に入ってしまえば30分で30Km圏内を脱出できるでしょう。

山越えのルートは注意が必要です。山越えできたとすると、その先は国道349号線とT字路で合流します。左(南)方向は東海第二原発に近づきますので、右(北)方向に進むことになりますが、その先は道路がだんだんと細くなります。しかし、30Km圏内を脱出するという点だけ考えると、有効なルートでしょう。

(5) 混雑状況をどのように知るか

これは非常に難しいです。時々刻々と変わるし、ラジオ・テレビ放送などで混雑が少ない、などの情報が流れるとそのとたんにそちらに集中します。報道の裏をかく、という態度も必要かもしれません。

もうひとつの大きな問題は、東海村などのより汚染源に近い人々が避難してくる、ということです。これについてできることは、日立市民はいち早く非難して、東海村民が避難して日立市に入ったときには、日立市民は避難し終わっていて、市内の道路はガラガラな状態にして、東海村民がよりスムーズに日立市を通過して避難できるようにすることでしょう。日立市民がぐずぐずしていて、避難してきた東海村民と合体してしまうのは避けなければなりまません。そのためには、事故が発生したら、東海村民が避難開始するより早いくらいに日立市民が避難することがよいでしょう。避難なんか必要なかった、と後でいわれても気にしないことです。

結論

原発事故の場合に1日くらいで目的地まで避難できる望みはありません。私は東日本大震災の時に、水戸の偕楽園から自宅まで33Kmを8時間かかって帰宅しました。当時、出かけていた人は家に戻ったでしょうが、自宅にいた人は動きません。原発事故では全員が移動するのです。道路はそのような用途を考えて作られてはいません。



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