考えてみると=まじめ編=原発=


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【11】福島第一原発の避難区域を東海第二原発にあてはめる (2012/8/31)

福島第一原発の避難区域を東海第二原発にあてはめる

福島第一原発の周辺区域は、放射線量などによって避難区域等が分類されています。
東海第二原発で地震、津波などにより、大規模な原発被害が発生した場合、どのような事になるのだろうか、と以前から疑問でした。

そこで、福島第一原発の位置と、東海第二原発の位置を重ねたときに、この福島第一原発での避避区域等がどのようにマッピングされるか、を図にしてみることを思い立ちました。


もちろん、両者で放射能漏れが発生したとき、各避難区域等が同じにはなりません。

従って、マッピング結果では、何をシミュレーションしたということもできません

つまり、全く当てにはなりません


では、全く役に立たないか、というとそうではありません

福島第一原発のときはこうだった、ということを知っておけば、他に情報がない時にはそれが頼りになるでしょう。

たとえば、いくつかの傾向を知ることができます。

理由は以下。

  • 道路の混雑のため、アイドリング時間が長くなる。
  • 道路の混雑のため、あるいはがけ崩れ、道路・橋などの通行止めなどにより、迂回することになりやすい。

以下に、福島第一原発の位置と、東海第二原発の位置を重ねたときに、この福島第一原発での避避区域等を示します。

この図のみのコピーは禁止です(注意事項がたくさんありますので)。このページ全体をリンクするのは構いません。


注意

以下の3点の注意事項をお忘れないようにお願いします。

(1)各避難区域等は、2012年6月15日現在のものです。

(2)海上の各避難区域等については、福島第一原発周辺の陸地の状態を延長してあります。

(3)東海第二原発に放射能漏れ災害が発生したとき、このようになる、というものでは決してありません。上記に書いたとおりです


各避難区域の制限内容は以下です。ただし、内容はおおよそのものです。

  • 避難指示解除準備区域・・・・通過交通や住民の一時帰宅、事業の再開(製造業など宿泊しないもの)が可能(宿泊は禁止)

  • 居住制限区域・・・・通過交通や住民の一時帰宅、インフラ復旧等のための立入りが可能だが、不要不急の立ち入りは控える

  • 帰還困難区域・・・・避難の徹底を求める一方、可能な限り住民の意向に配慮した形で一時立入りのみを実施(個人ごとの線量管理や防護服の着用が必要)

  • 警戒区域・・・・区域外に退去を命ぜられ、消防・警察等の緊急事態応急対策以外は、認可された場合のみ一時的に立入り可能(個人ごとの線量管理や防護服の着用が必要)

  • 計画的避難区域・・・・計画的に避難することが求められる


避難指示解除準備区域では、復興の芽生えが始まったというところでしょうか。

居住制限区域、帰還困難区域、警戒区域は厳しい、の一言に尽きます。こちらにお住まいの方の苦しみは想像に余りあります。


角度はそのまま

「福島第一原発での避難区域等」

北西の方向に高線量のエリアが伸びています。こちらが福島第一原発で水素爆発があった時には風下だったのでしょう。

この図を見ると以下のことが分ります。

東海村、ひたちなか市、那珂市の全範囲が20Km圏内に含まれ、警戒区域になる。

水戸市、日立市、常陸太田市のうちの人口が多い地域が20Km圏内に含まれ、警戒区域になる。

このシリーズの【3】で書いたように、これらの市の市役所が20Km圏内にあり、20Kmのライン上に茨城県庁があります。

よって、これらの市政、県政が長い間停止状態になる可能性があります。


警戒区域を右方向に回転

「福島第一原発での避難区域等」

東海第二原発の位置を中心に、右方向に回転させたものです。日立市がちょうど風下になった場合に相当します。

高線量の地域は、県北の県境付近まで伸び、日立市の他に、高萩市、北茨城市の市街地のほとんどが避難区域に含まれます


警戒区域を左方向に回転

「福島第一原発での避難区域等」

水戸市、笠間市のほとんど全部が避難区域に含まれるようになります。

警戒区域をさらに左方向に回転

「福島第一原発での避難区域等」

小美玉市のほとんど全域と、鉾田市が避難区域に含まれるようになります。

風向きは予測ができません。したがって、可能性としては、茨城県の中央部から県北の全範囲が避難区域になる可能性があります。


東海第二原発で過酷事故は?

東海第二原発で過酷事故はあり得ない、と主張する人もいるでしょう。
しかし、福島第一原発では、実際に過酷事故が起こりました。

福島第一原発での想定最大津波高さは 5.6m でしたが、約15mの高さの津波に襲われました。
地震、津波に関する研究では、日本は世界の先頭を切っているはずです。
5.6m という数値は、そのような研究結果を総合して得られた結果です。いいかげんな数値を出したわけではないのです。

人間の知恵を結集して結論付けた最大値に対して、その3倍もの大きさの事象が発生したのです。


福島第一原発の事故によって、想定外の事でも起こりうる、ということをわれわれは学びました。

想定外の事に対して対策はされません。起こらないのですから。

それでもやるというなら、覚悟が必要です。

何がおこるのか分らないぞ、という。


原発特有の危険性

隕石が原発の施設に落ちるような場合には、対策のしようがない、という事が言われることがあります。

小さな隕石でも、中央制御室とか原子炉を直撃したら、大事故になるでしょう。放射能漏れを防ぐことはできません。

もし、そこが原発の施設ではなく、普通のビルがたっているところであったのなら、ビルの中にいる人は死亡し、または負傷し、建物は破壊されます。

しかし、間もなく、同じところに新しいビルが建ち、人々はその中で仕事をするでしょう。


原発の場合には、広い範囲に放射能汚染が広がるとともに、その近くには、長い間、人が近づけません。


隕石が落ちるというような時に過酷な災害が長期間続くのは真っ平だから原発に反対する、という考え方がちっともおかしくないように感じられます。

真っ平・・・・嫌なので断りたいさま。(現代国語例解辞典[第四版] 小学館) そういうことです

【備考】
このページの内容は、数か月前から考えていたのですが、望ましい地図データがなくてのびのびになっていました。最近、"とらたぬこ"さんのツイッターで、茨城県の地図を使って、分析結果がとても分りやすく表示されているのをみて、地図で表現することの有効性を再認識し、急ぎとりかかりました。よいお手本を公開していただいたことについて、"とらたぬこ"さんに感謝いたします。また、白地図を無料で公開していただいているTECHNOMATEさん(テクノコ白地図イラスト:http://technocco.jp/)にも、感謝いたします。



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